「ひとりで寂しいから」月50万円以上も浪費し家計壊滅
五嶋さんは家計簿アプリで、離婚後の支出を記録していました。早速チェックすると、食費9万7000円、日用品2万2000円、交際費約8000円、嗜好品(主に日本酒、焼酎)約2万4000円など、一人暮らしにしては「かけすぎ」と思える支出が目立ちます。
「ひとりで、家で食べても寂しいだけなので、食事はほとんど外食だし、家にいるときのお酒の量も増えました。日用品は買い物が面倒だから、ネットで値段も確認せずにポチっとしています。会社の飲み会も子どもが受験の時は断っていましたが、待つ人もいないから、誘われるままに参加しています」
どうやら予算も考えずに、ただ使っているだけの浪費ざんまいのようです。
離婚前の五嶋さんは自分の小遣い10万円を取ったあとは、残り42万円を生活費として妻に渡していたそうです。家計の管理も貯金もすべて妻まかせ。五嶋家の家計費として、「何にいくらかかるのか」をほとんど知らなかったといいます。
いま、一人暮らしとなった五嶋さんは、家計簿アプリの数字を見て、「こんなに使っているのか」と愕然としたものの、一方で、「寂しいからこの支出も仕方ない」という思いもあり、具体的に手を打つことができません。また、家計管理の初心者ということもあり、どこをどう減らせばいいのか、その手掛かりさえ全くつかめないそうです。
家計管理を妻に丸投げの夫が妻と離別・死別後に「家計難民」に
家計を妻に丸投げし、自分は関わりを持たなかったために、妻と離別、死別したあとに「家計難民」になってしまう男性が少なくありません。
いくら仕事で大きなお金を動かしていても、毎日の生活を淡々と支えていく「家計のやりくり」は、同じお金でも別次元のもの。食べるための食費、生活を維持するための生活日用品費、お付き合いのための交際費など、目的に合わせたお金の使い方を、「月収」という範囲内でコントロールしていく必要があります。
赤字で困っているのに、行動に移せない五嶋さんですが、このまま赤字生活を続けていると、将来直面するのは必至という現実を、まずは知ってもらうことにしました。
60歳まであと5年、年金生活まであと10年というところで以下のリスクを挙げました。
(1)貯金がマイホームのマンションを売却し、元妻と折半した1400万円だけでは決して安心できない。
(2)定年後は雇用延長できても、収入は半分から3分の1に減る。
(3)介護が必要になったときに、民間の介護施設への入居をすると、トータルで数千万円かかる場合がある。
(4)現状のまま賃貸生活を続ける場合、一生家賃がかかる。
(5)数年前に転職したばかりで、退職金がほとんど期待できない。
などなど、「寂しいからお金を使ってしまう」ばかりでは、老後のお金はもっと寂しくなってしまいます。
五嶋さんはいま対策を立てないと取り返しがつかなくなる現実にようやく気づき、家計の改善に前向きに取り組んでいくことになりました。