それどころか、高級ブランドの服を身につけて、私のところに借金をしにきた。一度覚えた贅沢な暮らしを捨て切れないのだ。

当然、私はお断りした。事業をはじめたときの気持ちを忘れ、儲けだけが目的になってしまっては、再起は難しい。

年収のステージがあがったとき、誘惑に負けて、坂を転げ落ちないためには、ひとつには年収に応じて、欲のもち方を変えていくという方法がある。

最初は誰しも、もっとお金を稼いで、高級車を乗り回したいといった自分のための欲をもっている。アースホールディングスの國分社長の場合、最初の欲は25歳までに自分の店をもち、人に使われない生き方をすることだったという。

だが、222店舗を展開するホールディングスとなったいま、目指すのは美容業界で日本一のグループになることだ。そのため、グループ全体で100人のフランチャイズオーナーを育てようとしている。

また、國分社長はプールのある豪邸や、愛車としてフェラーリを所有していることでも知られるが、それも自分の欲のためというより、美容師を目指す若い人たちに夢をもたせるためである。青山に本社を構えるのも、海辺に数億円のサーフィンハウスを建てたのも、すべて同じ理由からだ。つまりは、すべて事業のための欲である。

ここで、私がおすすめしている方法を紹介しよう。それは、5年先、10年先までの人生計画書をつくり、1年ごとに見直すといった方法だ。

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プレジデント2012.4.2号「お金に愛される習慣」より。(年収1500万円以上=n349、年収500万円台=n350)

東海地方で医療法人を経営するY理事長は、5年先までの計画書をつくり、毎年同じ場所で、同じ仲間と一緒に、それを見直し、修正している。

Y理事長が最初に、計画書をつくったのは8年前のことだ。計画書には、目標とする5年後の年収を記入し、そのためにすべきことを60カ月の月間目標に落とし込んで、目標が達成できたかを、毎月チェックしていった。

すると、目標も、目標年収もあっけなく達成できてしまったのだという。

ほかにもY理事長は、後悔しない人生を送るために、公正証書遺言を残し、それを毎年、書き換えているのだそうだ。

いっけん、簡単なようだが、このような形で人生の計画を立てている人は少ないのではないだろうか。だが、これを地道に継続できた人が、年収数千万円のレベルにとどまることなく、億単位の年収を継続できる。

Y理事長の人生の目標は、常人とはレベルの違う高い地点にある。

次の目標年収は、10億円である。

【年収1億を生む黄金則】たかが年収数千万で終わらないために、志に立ち戻る仕組みをつくる。

(※『プロフェッショナル ミリオネア』(プレジデント社刊)第1章「考える、失敗を積む」より)

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