「マキオちゃん、面白い本があるわよ」

向井万起男●慶應義塾大学医学部准教授、病理診断部部長。1947年、東京生まれ。72年、慶應義塾大学医学部卒業。妻・千秋氏は日本初の女性宇宙飛行士。著書に『君について行こう』(正・続)、『謎の1セント硬貨』『4001の願い』(共訳)ほか。

2001年、アメリカで暮らしている女房(宇宙飛行士の向井千秋)が、友人が入院したある病院の書籍コーナーで本を見つけ、「マキオちゃん、面白い本があるわよ」と私に送ってくれた。アメリカの病院の書籍コーナーで見つけたくらいだから、もちろん英語の本だ。

題名は『the wish list』。日本語に訳せば「人生でやりたいことリスト」といったところだ。そして内容はといえば、短い願い事が全部で6000、ささやかなものから夢物語まで淡々とリストアップしてあるだけ。私の女房は、いろんなことをして、しょっちゅう私を驚かせる。一見、この本がどこにでもあるフツーの本に思えたのも私の誤解だった。家で寝転がって読んでいるうちに、すっかりのめり込んでしまったからだ。