過去の問題は捨て他人と同じではなくもっと上を目指せ
ドラッカーは毎年夏になると2週間ほど、自由になる時間を過ごすことにしていた。前年の夏以降の1年を反芻するためである。その間に熟考して、次の1年間の優先順位を決める。
一般に、順位を決める際のいちばんの問題は、自分自身で決断するのか、それとも状況の圧力で決まってしまうか、そのちがいにある。状況に流されるままに、なにを優先させるかを決めることになると、当然、それまでの仕事の積み重ねが台無しになる。目前の切迫している仕事が優先されて、明日への展望も開けない。
優先順位の決定は、ドラッカーのキャリアのなかの一大事業であった。そのためにたっぷり時間をかける。ただし、その通りに生きられたことは一度もない。途中で順位が変わる。ドラッカーにしてこうである。それほど難しい。しかし順位決定の試みをやめようとしたことはない。完全を求めて努力するという、ゆるがない決心をもちつづけたからである。
優先順位の決定に関して、もっとも重要なもの、それは勇気であると、ドラッカーは断言する。勇気をもって決め実行することは、どんな優れた分析にも勝る。これは時間管理全体にいえることである。優先順位を決め、不要な仕事を切って捨てるのにも、本来足りない時間からまとまった量をもぎとるのにも、勇気をもって処さねばならない。
彼は、優先順位の法則として、つぎの4つを挙げる。