3倍速の秘訣は走り出す前に十分考えること

<strong>伊藤良二</strong>●慶應義塾大学工学部卒、シカゴ大学経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーを経て、UCC上島珈琲の経営企画、商品開発担当取締役に就任。シュローダー・ベンチャーズ代表取締役、ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、日本支社長を経て現職。
伊藤良二●慶應義塾大学工学部卒、シカゴ大学経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナーを経て、UCC上島珈琲の経営企画、商品開発担当取締役に就任。シュローダー・ベンチャーズ代表取締役、ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、日本支社長を経て現職。

コンサルティングファームは一般の事業会社に比べて「成果を出すスピードが速い」というイメージがあるようです。マッキンゼーの場合、ひと昔前なら独自のフレームワークが強力なツールになりました。それらを駆使すれば短時間でデータを分析し、課題と解決策をまとめることができたのです。

ところがこの数年でそうしたフレームワークを紹介する本が多く出回り、「ロジカルシンキング」「3C分析」などの言葉も広まりました。本の通りにやれば誰でも簡単にできるわけではありませんが、これらのフレームワークを使いこなしているなら、さほどアウトプットに差はなくなってきていると思います。

では今日、何がコンサルティングファームの提供する価値を支えているかといえば、仕事に対する集中力であり仕事の密度です。事業会社と比べると、コンサルティングファームではアイドルタイム(手待ち時間)がほとんどありません。今日できるものは今日やり、もしやりきれなかったら徹夜してでも片付けます。通常1カ月単位で捉える仕事も1週間単位で進めていくため、スピードに3倍の差があるといってもいいでしょう。

時間内に課題を見つけ出し、課題の解決策を提示するのがコンサルティングファームのバリューですから、そのために最大限の努力をします。限られた時間で優れた結果を出すには、やはり時間の使い方が重要なのです。