1.過去ではなくて未来を選べ。

2.問題ではなくて機会に焦点を合わせよ。

3.横並びでなくて独自に方向を決めよ。

4.無難で容易なものではなくて、変革をもたらすものに照準を高くして合わせよ。

要約すると、過去からひきずっている問題は捨てて、未来のチャンスに賭け、他人と同じではなく、もっと上を目指せ、ということであろう。そのためには、なにを優先させるのか、どの仕事に時間を割くべきか。勇気をもって決断することを、ドラッカーは求めているのである。

優先順位とは逆に、劣後順位をつける方法もある。ためらいつつも捨てられない仕事の順位を決定するのである。ここで求められるのも、勇気をもった決断である。もちろん劣後のランクづけで、もっとも高く判定された事項から真っ先に切っていく。他の事項もいちおうペンディングになっているけれど、もう望みはない。相手が人であっても同様である。時間を真に大切に思うのならば、切って捨てよ。

日常カイゼンのコツ

日常カイゼンのコツ

勇気に導かれて、決断し、時間を味方につける充実した人生。それはドラッカー自身がたどったものでもある。だからこそ、「暇なときはなにをされているのですか」という質問に対し、時間管理の鬼は咆哮した。「私に暇な時間などあるわけがない!」。

※すべて雑誌掲載当時

(枝川公一(ノンフィクション作家)=文 Time&Life Pictures/Getty Images=写真)