社運をかけた開発に挑み、重いプレッシャーがのしかかりますが、佐藤さんは毅然と立ち向かうことができたと言います。その理由は、佐藤さんがマーケティングを始めた頃のひとつの経験にありました。(2022年3月28日レター)

私がキリンを退職して湖池屋の社長に就任したのは2016年。翌年、社運をかけて開発した「湖池屋プライドポテト」が年間約40億円の大ヒットになった。もちろん簡単に進んだわけではない。実は就任後、「湖池屋をプレミアムゾーンにリブランディングしよう」と掛け声をかけても社内の反応は悪かった。当時は赤字からようやく抜け出したばかり。負け犬根性が染みついて、リスクの高いチャレンジをするより、これまでどおり無難にやりたいというムードが社内に漂っていた。

状況が許せば、無理にリスクを取りに行く必要はない。しかし、当時の湖池屋はローリスクローリターンであぐらをかいていられる状況ではなかった。既視感を排除した新商品を市場投入できれば勝てる目算はあったが、それにはまず湖池屋を挑戦する組織に変えなければならなかった。

(構成=村上敬)