人間の脳は本質的にはマルチタスクができないことは、第5話で見てきました。では、山のように積まれた仕事の量に対し、どのように処理の効率を上げていけばよいのでしょうか。枝川教授が推奨しているのは、3つの仕事を同時にこなすよりも、「1点集中×3」です。どんなものなのでしょうか。
「記憶に頼らず、記録せよ」
上役の役員から「このプロジェクトを担当してくれ」と頼まれたり、部下が「明日朝の会議用資料の最終チェックをお願いします」と間際になって言ってきたり、人間の脳はマルチタスクをこなすのには向いていないとわかっていても、中間管理職の皆さんは、そんなことは言っていられないでしょう。いくつもの仕事を常に抱えているはずです。そして「あれもこれもやらなくてはいけない」と思っていると、次第に焦燥感が募っていくのではないでしょうか。挙げ句の果てに、やらなくてはいけないことを、うっかり忘れてしまうことも……。
そうしたミスを回避するポイントが、「記憶に頼らず、記録せよ」です。忙しい人ほど、脳の中に様々な情報が次々と入ってきて、ワーキングメモリがフル稼働を続けています。すると「この仕事は何日までに終わらせないといけない」といった大切な情報が、ワーキングメモリのテーブルの上からこぼれ落ちてしまうことがあります。このことが、「もの忘れ」によるうっかりミスの原因の一つになっているのです。
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(構成=伊藤博之 撮影=柳井一隆 図版作成=大橋昭一)

