オリックス シニア・チェアマンの宮内義彦さんは、ビジネスリーダーが判断を下すには「マクロ観」が必要だと言います。世界経済をどう読めばいいのか、材料・情報はどう集めればよいのか、そして、どう判断すればよいのか。今回は、ある国際比較データをもとに、これからのリーダーに求められるスタンスを明確にしていきます。(2020年10月5日レター)

【井上】クラウド会計の利用実績について、欧米が50〜60%、日本は20〜30%という調査があります。これは「導入するのが面倒だ」「よく分からない」と企業経営者や事業主が及び腰になっているからなのでしょう。日本人のITに対する苦手意識というのが見てとれます。

【宮内】DXやAIといった技術の進歩は、急激に起こったパラダイムシフトです。この変革をビジネスに利用しないという判断はあり得ない。進化した技術がせっかく目の前にあるのですから、素直に恩恵に預かるべきです。例えて言うと、明治の初めに世の中が行燈から電気に移行したくらいの変化という感覚です。行燈を使い続けるよりも、早く電気に変えた方が勝つ。その際に大切なのは、DXやAIをどうやって活用するか、そしてAIを活用する能力をどうやって身につけるか、ということ。

(聞き手=井上智洋 駒澤大学准教授 構成=久保田正志)