インデックスだけに頼らない時代が訪れた

ここ数年、「米国株のインデックスファンドを持っていれば安心」という風潮が強まりました。それは金利が低く、世界的に株価が順調に上昇する「ぬるま湯環境」が思いのほか長く続いたからです。特に日本の投資家にとっては、2020年末に103円台だったドル円レートがその後大きく円安に振れたため、為替差益も享受できてダブルスコアでリターンを獲得できるような状況でした。

しかし、環境は変わりつつあります。アメリカではコロナ禍の終焉とともにゼロ金利政策が終了し、金利上昇と物価上昇が始まりました。22年単年で見ると、代表的なインデックスであるS&P500や「オール・カントリー」はマイナス幅を記録しましたが、日本では円安が進んでいたため、その事実を受け止めにくかった面があります。

金融緩和によって市場に余剰資金が溢れ、株高になりやすい流動性相場では、インデックスに投資してさえいれば十分なリターンを獲得できました。しかし、金利のある世界に突入した今、インデックスファンドだけでなく、他の選択肢にも目を向けてみる時期が来ているのではないでしょうか。

その一つが、インデックスを上回る運用成果を目指すアクティブファンドです。「アクティブ」という言葉から「積極的にリターンを取りにいく」というイメージを持たれがちですが、「柔軟性を持って運用できる」ととらえてほしいと思います。

インデックスファンドはルールに則って機械的に運用するため、相場変動に備えてあらかじめ手立てを講じることができません。一方、アクティブファンドは市場環境に応じて銘柄を入れ替えたり、現金比率を調整したりと柔軟に対応することができます。なかには、リスクを市場平均よりも低く抑えることに重きを置いたアクティブファンドも存在します。

人の手が加わる分、アクティブファンドはインデックスファンドよりも運用にかかるコストが高くなります。しかし近年はネット取引が普及したこともあり、投資信託全体にコストの低下圧力がかかり、アクティブファンドの手数料も以前よりだいぶ下がってきました。

服装でたとえると、インデックスファンドは白いTシャツのようなイメージです。最初の一枚として誰にでもフィットしますが、それだけだとあらゆる環境に対応することが難しい。そこで上着を羽織ったり、通気性の良い素材を取り入れたりするわけです。これこそがアクティブファンドの役割です。インデックスをベースにしつつ、アクティブを組み合わせていくのがよいかもしれません。

日本株には勝てる「余白」が残されている

最近人気の「FANG+」(フェイスブック〔現メタ〕、アマゾン、ネットフリックス、グーグルの4社を含む、米国企業10銘柄で構成されたインデックス)のようなインデックスファンドは、銘柄を厳選している時点でアクティブ運用的な思想に基づいているといえます。今や、極めてアクティブな思想のインデックス運用も増えているので、「インデックス対アクティブ」のように対立概念としてとらえる必要はないと思います。

アクティブファンドがインデックスファンドに勝てるかどうかは、投資対象となる市場によって大きく異なります。米国株の場合、その時代のトレンドに合った銘柄が素直に時価総額の上位に躍り出て、インデックスに組み込まれていくダイナミズムがあります。たとえば、エヌビディアがS&P500に採用されたのは01年ですが、昨年一気に時価総額上位に躍り出ました。このような市場では、インデックス自体がアクティブな動きを見せるため、アクティブファンドが勝ち続けるのは極めて難しい。

一方、日本株の場合、インデックスそのものに米国ほどのダイナミズムはありません。また、英語による情報開示が十分ではない企業もまだ多く存在し、こうした企業については、海外の投資家がタイムリーに情報をキャッチできる環境にありません。

(構成=増田忠英)