「正規雇用」で定年まで勤めあげ、退職金と年金で悠々自適に「勝ち組」を謳歌する時代はもう終わり。これからは「非正規雇用」の「負け組」だった人たちがお金持ちになれるという。この時代に「億り人」になる人とは。
右肩上がりで順調に増えていく資産のイメージ
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これまでの「貧乏」が「お金持ち」になれる

日本的雇用は、1960年代から70年代の高度経済成長期に最適化した雇用制度です。終身雇用と年功序列が前提なので、新卒で会社に「正規雇用」され、定年までコツコツ働けば、安定した暮らしと老後の悠々自適が約束されました。当時はそれが勝ち組で「非正規雇用」は負け組とされてきました。

ところがいまや、その図式が逆転しています。

収入がガラス張りで、源泉徴収で税金や社会保険料を問答無用で取り立てられる「正社員」は、国家からますます搾取されています。一方で非正規雇用の中から、フリーエージェント化、あるいは後述するマイクロ法人化によってこの罠から逃れる人たちが出てきました。これまで「貧乏」とされてきた人たちが、「お金持ち」になれる時代になっているのです。

もちろん、将来はどうなるかわかりません。エコノミストや経済評論家がさかんに未来予測をしていますが、実は「ほとんど当たらない」ことがわかっています。カナダのジャーナリスト、ダン・ガードナーの著書『専門家の予測はサルにも劣る』によると、専門家に聞くよりサルにダーツを投げさせたほうがマシなのです。

研究によると、その中でも最もサルに劣るのは、自信満々に予測をする人です。イデオロギー的に偏っていて、「日本はこうなる」と大声で論じる人たち。自信たっぷりなほど予測の精度は下がっていきます。一方、正しい予測ができるのは、自分の予測に自信がなく、条件が変わるたびに細かく修正していく人です。それを繰り返すことで、未来を正しく知ることができるようになるのです。

数学者のブノワ・マンデルブロは、アインシュタインなどと並ぶ20世紀が生んだ天才の一人ですが、世界の基本法則が、統計学では予測不能の複雑系であることを発見しました。

社会や市場は、ある人の行動が別の人に影響し、それがまた別の人に影響を与えるという相互作用でつくられています。これはものすごく複雑なので、数学的に記述することができず、統計学でも分析できません。すなわち、これから何が起こるかを予測することは原理的に不可能なのです。

ギスギスの格差社会で「億り人」になる条件

しかしその中で唯一、例外的に予測が可能なものがあります。それが人口動態で、日本のような先進国では、戦争や内乱などで人口が大きく変動することは考えられませんから、数十年先のことまでほぼ正確に予測できます。

高度経済成長の時代は人口構成がピラミッド型だったので、現役世代がお金を出しあって、高齢者の面倒を見ることができました。しかし人口動態を調べている人たちは、半世紀も前から、この社会保障制度が持続不可能であることを指摘していました。いまになって、「若者1.5人で高齢者1人を支えなければならない時代が来る」と騒いでいますが、これは予想通りになっただけです。そんな日本社会では、もはや会社も国も「安心」を提供できなくなってきています。だからこそ、自分と家族が幸福になるための「自助努力」が求められているのです。

人口動態から推測すると、今後の日本は格差がますます拡大し、社会はさらにギスギスしていくでしょう。格差は主に2つの分野で拡大していきます。