AIを使用する際に気を付けるべきことは何か。AIやDXの専門家の小澤健祐さんは「個人情報はAI活用で最も慎重になるべき領域だ。名前を伏せても個人が特定されてしまう場合がある」という――。(第1回)

※本稿は、著・小澤健祐、マンガ・奈良裕己『40代・50代でもよくわかる 宇宙一やさしいAIの教科書』(ワン・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

ノートパソコンを操作するビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
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知らなかったでは済まされない

私の考えでは、AIのリスクは「知れば避けられるもの」がほとんどです。交通ルールを知らずに道路へ出れば危険ですが、信号や標識の意味を知っていれば安心して移動できます。AIも同じ。危ない使い方と安全な使い方の境目を知ることが、いちばんの防御策になります。

AIを使い始めると、ふとこんな不安がよぎります。

「AIが作った文章を資料に使ったら、著作権侵害にならない?」
「会社のデータをAIに入れたら、情報漏洩になる?」
「AIが嘘をついたせいで、取引先に迷惑をかけたらどうしよう?」

これらの不安を持つことは、とても健全なことです。何も考えずに使うよりも、「大丈夫かな?」と立ち止まれる人のほうが、AIとうまく付き合えます。ただし、怖がりすぎて使わないのも問題です。

この記事のゴールは、「何がOKで、何がNGか」のラインを明確にすること。ルールを知れば、怖さは消えます。交通ルールを知っている人は、車を怖がりません。同じことです。

では先に結論を言いましょう。普通の使い方をしている限り、AI利用だけで刑事責任を問われる可能性は高くありません。ただし、「知らなかった」では済まされないリスクはいくつかあります。それを今からひとつずつ、わかりやすく解説していきます。

「下書き利用」は低リスク

著作権の話は、難しい法律用語が出てくるため身構えやすいところです。ここでは法律家向けの細かな議論ではなく、普通のビジネスパーソンが日々の仕事で迷わないための実務ルールに絞ります。

私の意見としては、「誰かの作品に似せようとしていないか」「社外に出す前に人間が確認したか」のふたつを意識するだけでも、ほとんどのトラブルは避けられます。

もうひとつ、私は「社内で使う下書き」と「社外に出す完成物」を分けて考えることが大切だと思います。AIに会議メモを整理させる、企画書の骨子を作らせる、メールの言い回しを整える。こうした下書き利用は、リスクが比較的小さい使い方です。

一方で、広告、販売資料、公開記事、SNS投稿のように外へ出るものは、似すぎていないか、人を誤解させないかを丁寧に確認しましょう。

初心者はまず、「社内下書きは比較的低リスク、社外公開は要確認」と覚えてください。法律の細部より、公開前に「何か」に似すぎていないか、権利を侵害していないか、社内ルールに合っているかを確認することが実務上は重要です。