誰かの権利を侵害してはいけない

① AIが生成した文章や画像は、そのまま使う前に「既存の作品に似すぎていないか」を確認する。特に、特定の作家やブランドの名前を指定して生成した場合は要注意。

② AIに他人の著作物(本の全文、記事の全文、歌詞など)を入力して「これを書き換えて」と頼むのは避ける。著作物の要約や引用は範囲を限定して行うのが鉄則。

③ 社外に公開する資料(プレスリリース、広告、SNS投稿など)にAI生成コンテンツを使う場合は、社内のルールや法務部に確認してから。

普段の業務――メールの下書き、議事録の要約、企画書の骨子作成――でAIを使う範囲であれば、著作権上の問題が表面化する場面は多くありません。ただし、社外に出す前には、既存の作品に似すぎていないか、人間が創作的に関与しているか、社内ルールに合っているかを確認する必要があります。

私たちユーザーが気をつけるべきことはシンプル。「AIの出力が誰かの権利を侵害していないか」を意識すること。それだけです。

「個人が特定できる情報」は言い換える

個人情報は、AI活用で最も慎重になるべき領域です。名前や連絡先は、本人にとって大切な情報であり、会社にとっても信頼そのものだからです。私は、迷ったときは入力しないという判断を基本にするのが安全だと考えています。

そのうえで、名前を伏せる、数字を丸める、一般化した相談に変えるなど、情報を守りながらAIの力を借りる方法を身につけていきましょう。

例えば「山田太郎さんに送る謝罪メール」と入れる代わりに、「取引先の担当者に送る謝罪メール」と書きます。「A社の購買履歴」をそのまま貼る代わりに、「ある顧客の購買傾向」と言い換えます。私の意見としては、この一手間を面倒だと感じなくなることが、会社でAIを安全に使う第一歩です。

著・小澤健祐、マンガ・奈良裕己『40代・50代でもよくわかる 宇宙一やさしいAIの教科書』(ワン・パブリッシング)
著・小澤健祐、マンガ・奈良裕己『40代・50代でもよくわかる 宇宙一やさしいAIの教科書』(ワン・パブリッシング)

匿名化は、名前だけで十分とは限りません。部署名、地域、日付、金額、珍しい肩書が組み合わさると、誰の話か推測できる場合があります。私の考えでは、「本人を知っている人が読んでも特定できないか」を基準にするのが安全です。必要なら、数字を概算にする、日付を月単位にする、会社名を業種名に置き換えるところまで行いましょう。

原則として、個人が特定できる情報はAIに入力しないほうが安全です。「個人が特定できる情報」とは、具体的にはこういうものです。お客様の氏名、住所、電話番号、メールアドレス。社員の個人情報。取引先の担当者の連絡先。健康情報や給与情報。これらをAIのチャット欄に貼り付けるのはNGです。