株高や新NISAを追い風にどんどん勢いを増していく投資ブーム。数多い銘柄や商品の中から、どうすれば良質なものを見つけられるのか。専門家4名が「注目株」を厳選。時代の大波を乗りこなす投資術を指南する!

テスラやエヌビディアになぜ早く気づけたのか

20年以上前から、米国株を中心に投資を行ってきました。米国株を対象にした理由は、米国には常に革新的な技術やサービスを生み出す活気があるからです。リーダーシップのあるCEOのもと、優秀な人材が集まり、世界を魅了するプロダクトやサービスが次々と生まれています。そして、新しい企業だけでなく、既存の企業も積極的に変化を続けている。そうした企業の株は、ビジネスの成長に伴ってぐんぐん値上がりしていきます。この新陳代謝の激しさこそが、米国市場最大の魅力です。

日本の株式市場に目を向けると、素晴らしい技術やノウハウを持ち、世界に挑戦して大きく成長している日本企業もあります。しかし、残念ながら米国のようなダイナミズムはありません。全体として見れば米国市場よりは新陳代謝が低く、爆発的な成長を遂げる企業は見つけにくいと感じます。

成長性という意味では中国株も魅力があります。しかし、共産党の政策によってビジネスが左右される不確定要素が多く、リスクが高すぎるように思えます。これらの理由から、私はもっぱら米国株を投資の軸に据えています。

これまで、今ほど人気がなかったころのアップルやテスラ、エヌビディアといった企業に投資し、大きな利益を得ることができました。それを可能にしたのは、10~20年というスケールでの時代のうねりを早い段階でとらえ、しかるべき企業に投資して長期的な成長を狙う「メタトレンド投資」という手法です。

その前提にあるのは、「マーケットの動きを読み切ることは不可能だ」という考えです。デイトレーディングでよく使われる、チャートの形や各種の指標を見て短期の株価の動きを予測する「テクニカル投資」と呼ばれる技法があります。しかし、誰もがメソッドに従って売買を行えば、利ざやを稼ぐチャンスは理屈のうえではどんどん小さくなるはずです。ましてや、専用のツールを駆使して、1000分の1秒以下のタイミングで大量の売買注文を繰り返す機関投資家に、個人投資家が勝てるはずがありません。

企業のPER(株価収益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標に着目する、ファンダメンタル投資と呼ばれる手法もあります。私もこれらの数字は確認しますが、ファンダメンタルを重視する証券アナリストの方が見ている未来とは、だいたい半年先、長くて2年先ぐらいの話でしかないと感じます。

2007年に最初のアイフォンが発表されたとき、私は「これで世界が変わる」と確信し、自信を持ってアップル株を購入しました。一方、アナリストたちは「2~3年後にアップルが取れるシェアはこのぐらいだろう」という予測はできても、その後10年がかりでスマートフォンがガラケーを駆逐し、世界中の人々の生活を一変させることまでは読めませんでした。ファンダメンタルの分析では、「大化けする株」を見つけることは困難なのです。

さらに、景気の変動のようなマクロの動き、リーマンショックのような突発的な変動、第2次トランプ政権発足後の市場の乱高下なども、事前に正確に予測することは困難です。短期にせよ長期にせよ、株式市場そのものの動きをぴたりと読み切ることは無理だと私は認識しています。

一方で、自分の仕事や趣味・関心などを通じて、世の中がこれから10年、20年というスパンでどのように動いていくかという大局的な視点を持つことは可能です。私はエンジニアなので、アイフォンの革命性をすぐに理解できました。

エヌビディアも同様です。14年ごろに「これからAIが確実に伸びる」「それには大量の演算処理を並列でこなすGPUが必要になる」というメタトレンドに気づき、一メーカーである同社に対して投資を始めました。目先のニュースや短期的な株価変動ではなく、じわじわと時代の流れが変わっていく大きなトレンドに注目したからこそ、その後大化けする株をまだ安いうちに買うことができたのです。

(構成=川口昌人)