少子高齢化を背景に日本のあらゆる職種・業種で「人手不足」が叫ばれているが、本当に原因はそれだけなのか。衆院議員の藤田誠さんは「『人生100年時代』になったにもかかわらず、日本人の働き方はいまだに『人生80年時代』のままになっている」という――。

※本稿は、藤田誠『ロンジェビティ・エコノミー』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

電話をするシニアビジネスマン
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人手不足は少子高齢化だけが原因なのか

あなたの職場に、60歳を過ぎた人はいるでしょうか。その人はいま、どんな仕事をしていますか。

私はがんの闘病中、病室から会社の会議につないでいました。あのとき私を支えていたのは、治療そのものより「まだ役割がある」という感覚だったと思います。役割を失う怖さは、病気でも加齢でも変わらないはず。だから私は、人生後半の就労を「福祉」と呼びたくないのです。

日本の人手不足をめぐる議論では、どうしても「若い人が足りない」「採用が難しい」という話が前面に出がちです。

もちろん、それは現実の重要な一面です。厚生労働省の「労働経済白書(令和7年版)」も、少子高齢化を背景に、人手不足を構造的で長期にわたる課題として整理しています。2020年に約7500万人だった生産年齢人口は、2040年には約6200万人へと激減する見通しです。

しかし、本稿で最も強調したいのは、「人手不足を単なる『若年層の頭数不足』として見ると、問題の本質を見失ってしまう」ということです。

日本に必要なのは、若い世代の数を前提にしたこれまでの成長モデルを、無理にそのまま延長することではありません。50代、60代、70代の人々が、年齢を重ねても社会で役割を持ち続けられるように、「労働市場の設計そのもの」を変えることです。

長寿社会における就労政策とは、決して高齢者を福祉的に救済する政策ではありません。長く生きる社会にふさわしい働き方をつくり、その経験、信頼、専門性を社会の「供給力」へと変えていく政策です。これは高齢者向けの周辺的な政策などではなく、日本の成長戦略の「核心」にある論点なのです。