課金の仕組みも、詐欺かどうかを判断するポイントになる。
「会員から低額かつ定額の情報提供料を取るようなシステムなら、通常の商行為の範囲とみなされやすい。しかし、『裏情報を入手するためには追加料金が必要』などといって、さらに高額のお金を使わせるケースは詐欺の疑いが高くなります」
競馬情報詐欺にひっかかる人に対して、「競馬に必勝法はない。騙される側にも油断がある」と考える人もいるだろう。ただ、必勝法の有無については結論を急がないほうがいい。
昨年11月、競馬で勝った所得を申告しなかったとして起訴されたある男性の裁判の初公判があった。男性は3年間で計約28億7000万円分の馬券を購入し、約30億1000万円の払い戻しを受けた。差し引き約1億4000万円が利益だ。まずは金額に驚かされるが、注目したいのは、男性が独自ソフトを開発して馬券を買っていたことだ。実績を考えると、少なくとも一時的には必勝法が存在したのだ。
ちなみに裁判で争われているのは、外れ馬券の費用を必要経費として認めるかどうか。国税局は「競馬で得た配当は一時所得」と主張。その場合、経費算入できるのは当たり馬券に投資した金額のみ。その条件で計算すると、当たり馬券の購入費用約1億1000万円の投資で、約30億1000万円の払い戻しを受けたので、税法上の利益は約29億円に。この利益に対する追徴課税は約7億円。実際の利益は約1億4000万円なので、約7億円も税金を払ったら赤字どころか破産しかねない。どう考えても理不尽だ。
競馬必勝法は存在するかもしれないが、仮にそれで勝ち続けても、国税局が待ち構えていて、儲け以上の税金を持っていく。そう考えれば、「必勝法がある」という誘い文句にも魅力を感じなくなるかもしれない。