Facebookの成功は、ユーザー数を10億人に増やすために働いた人々のおかげだ。このような人は「グロースハッカー(growth hacker)と呼ばれ、ユーザーを増加させる(growth)専門家として注目されている。
「グロースハッカーとは一言でいうと、サイトの一番重要な指標(KPI)を、極めて高い成長率で上げることができる人。会員数を指標においているサイトでは会員数が、PVを指標においているサイトではPVを伸ばせる人ということになる」とnanapiの古川健介氏は話す。FacebookやTwitterなど、新興Webサービスにはもはや欠かせない職種となりつつある。
先に述べたFacebookのグロースハッカーであったAndrew Johns氏は、現在米国で急成長中のQ&Aサイト
「Quora」のユーザー獲得チームにて活躍中だ。優秀なグロースハッカーは引く手数多である。では、グロースハッカーとはどんな能力が必要か。
「単純に『このスキルがあれば成り立つ』というものではない。Webのディレクションスキルから、統計学的なアプローチができる知識、仮説から実行、検証までできるスキルが必要になる。履歴書などからは、なかなか判断がつきづらい」(古川氏)。そうした人材ゆえそもそも人数も少なく、現状では採用は極めて困難だ。
自前で育てるための秘訣は、「優秀な人に対して、重要なデータを自由に触ることができ、かつ、短い期間で様々な施策を打てる環境を用意すること」(古川氏)。会社の要となる人材を投入できるかがポイントとなりそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)