自宅で東大の講義を無料で聞けることをご存じだろうか。
大学の講義などをネットで無償公開する活動を「オープンコースウェア(以下、OCW)」という。2001年マサチューセッツ工科大学が始めたことがきっかけで、いまや世界46カ国、250機関、2万2000科目が公開されている。日本でも東大・京大・早慶など22大学が約3000の講座を公開している。
また最近は、MOOCs(ムークス:大規模公開オンライン授業)参加者が増えている。これは、OCWとは違い、宿題や試験があって、履修証明書が発行される。今年2月、東大が国内で初めて参加を表明した。今年9月から2講座が英語で配信される。
OCWやMOOCsのメリットは「地理的・時間的制約を受けないこと。学費が払えない学習者にも学習機会が広がること」とネットラーニングホールディングス代表の岸田徹氏は話す。
講座の内容は「コンピュータサイエンス、物理化学、高等数学などの専門性が高いものから、マイケル・サンデル教授の白熱授業、ジャズやクラシック、美術・演劇など、幅広い」(岸田氏)。
一方、今後の課題について、明治大学特任教授の福原美三氏は「『教員の意識』『資金』『言語』『著作権』だ」と指摘する。日本では、教員は講義をネット公開しても評価されないため、積極的になるインセンティブがない。国内法では著作権処理に手間がかかる。さらに講義が日本語中心なのもネックだ。「海外では単位認定する動きも進んでいる」(岸田氏)。日本の大学は変化に対応できるだろうか。