英文法をマスターするにはどうすればいいのか。マナビメイト代表で最難関中高一貫校の生徒1000人以上に英語を指導してきた渡辺雄太さんは「英文法は成り立ちを学ぶことで本質的な理解に近づける。例えば、現在進行形が意味するところは『いま~している』だけではない。実はさまざまな用法を持っているのだ」という――。

※本稿は、渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

名古屋城
写真=iStock.com/Marina Luiz
※写真はイメージです

現在進行形が「未来」の意味を持つことも

現在進行形be Vingと聞いて、どんなイメージを抱きますか? 「いま~している」という和訳を思い浮かべる人が大半だと思います。たしかに、多くの英文はそれで理解できます。

He is playing tennis now.
「彼はいまテニスをしている」

しかし、次の例文はどうでしょう。「未来」の意味で使われています。なぜ現在進行形が「未来」の意味を持つのでしょう。willなどの「未来」の表現との違いはどこにあるのでしょう。

I am flying to New York next week.
「来週NYに行く予定だ」

また、現在進行形と相性の悪い動詞がいくつか存在します。know「知っている」、resemble「似ている」、have「持っている」などです。

△She is having a car.
「彼女は車を1台持っている」

さらに、下記の英文は、「バスが停車している」ではなく、「バスが停車しつつある」という意味で解釈するのが一般的です。

The bus is stopping.
「バスが停車しつつある」

現在進行形のさまざまな用法は、どのように理解すればよいのでしょうか。

現在進行形のもとの形はbe on Ving だった

現在進行形は、be on Vingがもとの形です。「~している状態に接している」が原義です。例えば、「テニスをしている状態に接している」なら、「テニスをしている途中」ということです。そのため、現在進行形be Vingは「途中」を本質に持つのです。

onが「途中」につながる感覚は、現代英語にも見られます。on sale「売りに出されて」、on fire「燃えている」、on strike「ストライキ中で」などは、次のように解釈することができます。

● on sale「売りに出されて」
→販売の状態に接している/販売の途中

● on fire「燃えている」
→燃える状態に接している/燃えている途中

● on strike「ストライキ中で」
→ストライキの状態に接している/ストライキの途中

「途中」が本質の現在進行形ですが、be on Vingのonは、音が弱くなり消失しました。その結果、現在進行形はbe Vingという現代英語の形になりました。

【図表1】もともとは「be on Ving」だった
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

次の例文を見てみましょう。「テニスをしている=テニスをしている途中だ」という意味に注目してください。

He is playing tennis now.
「彼はいまテニスをしている」(途中)

「テニスをしている途中だ」は見方を変えれば、「テニスを一時的にしている」と、「一時的な継続/躍動感」にもつながります。ボールを打つ/走るという行為を「一時的に」「生き生きとした躍動感」を持って行っているという感覚です。現在進行形には、一時的な動作の途中を切り取っている感覚があります。

テニスの継続が10分なのか、1時間なのか、それはわかりません。いずれにせよ、動作の途中を一時的な時間幅で切り取っているので、現在進行形は躍動感を帯びることが多いのです。

【図表2】現在進行形は躍動感を帯びることが多い
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

現在進行形を解釈する際は、「~している」という和訳だけをあてて満足してはいけません。「途中」という中心イメージから広がる、「一時的な継続/躍動感」という感覚を捉えることが大切です。