※本稿は、渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
現在進行形が「未来」の意味を持つことも
現在進行形be Vingと聞いて、どんなイメージを抱きますか? 「いま~している」という和訳を思い浮かべる人が大半だと思います。たしかに、多くの英文はそれで理解できます。
He is playing tennis now.
「彼はいまテニスをしている」
しかし、次の例文はどうでしょう。「未来」の意味で使われています。なぜ現在進行形が「未来」の意味を持つのでしょう。willなどの「未来」の表現との違いはどこにあるのでしょう。
I am flying to New York next week.
「来週NYに行く予定だ」
また、現在進行形と相性の悪い動詞がいくつか存在します。know「知っている」、resemble「似ている」、have「持っている」などです。
△She is having a car.
「彼女は車を1台持っている」
さらに、下記の英文は、「バスが停車している」ではなく、「バスが停車しつつある」という意味で解釈するのが一般的です。
The bus is stopping.
「バスが停車しつつある」
現在進行形のさまざまな用法は、どのように理解すればよいのでしょうか。
現在進行形のもとの形はbe on Ving だった
現在進行形は、be on Vingがもとの形です。「~している状態に接している」が原義です。例えば、「テニスをしている状態に接している」なら、「テニスをしている途中」ということです。そのため、現在進行形be Vingは「途中」を本質に持つのです。
onが「途中」につながる感覚は、現代英語にも見られます。on sale「売りに出されて」、on fire「燃えている」、on strike「ストライキ中で」などは、次のように解釈することができます。
● on sale「売りに出されて」
→販売の状態に接している/販売の途中
● on fire「燃えている」
→燃える状態に接している/燃えている途中
● on strike「ストライキ中で」
→ストライキの状態に接している/ストライキの途中
「途中」が本質の現在進行形ですが、be on Vingのonは、音が弱くなり消失しました。その結果、現在進行形はbe Vingという現代英語の形になりました。
次の例文を見てみましょう。「テニスをしている=テニスをしている途中だ」という意味に注目してください。
He is playing tennis now.
「彼はいまテニスをしている」(途中)
「テニスをしている途中だ」は見方を変えれば、「テニスを一時的にしている」と、「一時的な継続/躍動感」にもつながります。ボールを打つ/走るという行為を「一時的に」「生き生きとした躍動感」を持って行っているという感覚です。現在進行形には、一時的な動作の途中を切り取っている感覚があります。
テニスの継続が10分なのか、1時間なのか、それはわかりません。いずれにせよ、動作の途中を一時的な時間幅で切り取っているので、現在進行形は躍動感を帯びることが多いのです。
現在進行形を解釈する際は、「~している」という和訳だけをあてて満足してはいけません。「途中」という中心イメージから広がる、「一時的な継続/躍動感」という感覚を捉えることが大切です。