「長時間続く動詞」をあえて現在進行形にする場合がある
例外はまだあります。先ほど挙げた長時間続く動詞でも、「一時的な継続/躍動感」を強調したい場合、あえて現在進行形にすることがあります。
その代表がlive「住んでいる」です。通常、liveを現在進行形にすることはありません。どこかに「住む」という動詞は、長時間続くことを前提としているからです。「東京に10分住んで、住むのをやめて、次は大阪に2時間住んで、今度は名古屋に……」という人は、ふつうはいませんね。したがって、「住んでいる」は現在形の使用が一般的です。
ただ、「一時的に住んでいる」ということを強調するために、liveを現在進行形にすることがあるのです。例文を見てみましょう。
He is living in Nagoya now.
「(一時的に)彼は名古屋に住んでいる」(一時的な継続/躍動感)
この例文からは、「名古屋に住んでいるのは一時的なコトなのだ」という雰囲気が出ています。少し長めの出張なのかもしれませんし、すぐに引っ越すことがわかっているのかもしれません。
いずれにせよ、「数週間~数カ月の間、一時的に住んでいるのだ」という気持ちを前面に押し出した表現となっています。
また、be動詞もあえて進行形にすることで、特別な効果を出すことができます。
He is nice.
「(いつも)彼は親切だ」
He is being nice.
「(いまだけ)彼は親切だ」(一時的な継続/躍動感)
現在形を使ったHe is nice.は、広がりのある時間幅で「彼は親切だ」と述べています。いつも親切に振る舞っているという、彼の状態や性質を述べています。
一方、He is being nice.は、be動詞をあえて進行形にしています。状態を表すbe動詞が進行形になることで、「いまだけ一時的に」という意味に変化しています。
見方を変えれば、「いつもは親切じゃない」ということです。機嫌がいいのか、何か狙いがあるのか、理由はわかりません。いずれにせよ、「一時的に親切に振る舞っているのだ」という響きのある表現に変化しているのです。
これまで見てきた通り、現在進行形の意味の中心は「途中」「一時的な継続/躍動感」です。現在進行形の用法は、ここからさまざまな広がりを見せました。