「長時間続く動詞」をあえて現在進行形にする場合がある

例外はまだあります。先ほど挙げた長時間続く動詞でも、「一時的な継続/躍動感」を強調したい場合、あえて現在進行形にすることがあります。

その代表がlive「住んでいる」です。通常、liveを現在進行形にすることはありません。どこかに「住む」という動詞は、長時間続くことを前提としているからです。「東京に10分住んで、住むのをやめて、次は大阪に2時間住んで、今度は名古屋に……」という人は、ふつうはいませんね。したがって、「住んでいる」は現在形の使用が一般的です。

【図表4】「住む」という動詞は長時間続くことを前提としている
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)
渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)
渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

ただ、「一時的に住んでいる」ということを強調するために、liveを現在進行形にすることがあるのです。例文を見てみましょう。

He is living in Nagoya now.
「(一時的に)彼は名古屋に住んでいる」(一時的な継続/躍動感)

この例文からは、「名古屋に住んでいるのは一時的なコトなのだ」という雰囲気が出ています。少し長めの出張なのかもしれませんし、すぐに引っ越すことがわかっているのかもしれません。

いずれにせよ、「数週間~数カ月の間、一時的に住んでいるのだ」という気持ちを前面に押し出した表現となっています。

【図表5】「一時的に住んでいる」ことを示す表現になる
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

また、be動詞もあえて進行形にすることで、特別な効果を出すことができます。

He is nice.
「(いつも)彼は親切だ」

He is being nice.
「(いまだけ)彼は親切だ」(一時的な継続/躍動感)

現在形を使ったHe is nice.は、広がりのある時間幅で「彼は親切だ」と述べています。いつも親切に振る舞っているという、彼の状態や性質を述べています。

【図表6】現在形なら「いつも親切だ」という意味になる
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

一方、He is being nice.は、be動詞をあえて進行形にしています。状態を表すbe動詞が進行形になることで、「いまだけ一時的に」という意味に変化しています。

見方を変えれば、「いつもは親切じゃない」ということです。機嫌がいいのか、何か狙いがあるのか、理由はわかりません。いずれにせよ、「一時的に親切に振る舞っているのだ」という響きのある表現に変化しているのです。

【図表7】現在進行形にすることで「いつもは親切じゃない」ことが伝わる
出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

これまで見てきた通り、現在進行形の意味の中心は「途中」「一時的な継続/躍動感」です。現在進行形の用法は、ここからさまざまな広がりを見せました。

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