「相手が知らなくては困るもの」に絞ることが大原則

たとえば、先ほどの例で言いますと、こんな感じです。

○「最も重要なルールは、顧客情報の取り扱いについてです。社外での会話やPCの利用、SNS投稿には特に注意が必要です。具体的なガイドラインをメールで送るので、何よりもそれに気をつけてください。」

おそらく、新入社員はこの職場で働く上でまず「最も重要なルール」を知りたいと思っているはずです。

会社には会社ならではのルールが存在しています。その中に、「知っておかないといけないこと」と「必要なときに聞けば良いこと」があります。

何度も聞かれると説明する側も大変なので、なるべく効率よく伝えておきたい気持ちもありますが、一つひとつ順に覚えていけば良いルールは、最優先の情報ではないととらえておくことです。

あくまで、説明は「相手が知らなくては困るもの」に絞ることが原則です。

ビジネス
写真=iStock.com/chachamal
※写真はイメージです

ただ、重要なことは伝えたものの、それ以外に相手が本当に知りたいことは別にあるかもしれません。

「何か他に聞きたいことはありますか?」

聞き漏れがないか、一度確認してみてもいいでしょう。

人によって関心ごとは異なります。

思いもよらぬことを聞かれるかもしれませんが、相手の疑問に答えると、すっきりしてもらえるでしょう。

多くの人が「できるだけ多くの情報を、丁寧に」説明しようとしてしまいますが、必ずしもそれが最適ではないということを、まずは知りましょう。

説明上手な人は、相手が何を知りたいのか、知るべきなのかに絞って説明しよう

その場の思いつきで話すと「伝えることで精一杯」

上手に説明できる人は型に入れて話し、
できない人は思いつく順に話す。
×「初めての北海道に行ってきましたよ。紹介してもらったラーメンのお店、おいしかった。サイコーでした。しかし北海道はでかいですね。運転が大変でした。いやーでもまた行きたいです。」

こういう流れで話す人、いますよね。

このように、頭に浮かんだことをそのまま話して、会話がすぐに終わってしまうことはありますか?

話を聞いている相手からすれば、「喜んでいるようだからよかった」とは思うでしょうが、話をきっかけにして次に展開するには、他の情報が必要なため、質問をしたり、新たな情報提供があるかどうかは、その相手しだいになってしまいます。

また、思いつきで話す人は重要な情報を伝え忘れたり、同じ内容を繰り返したりする可能性が高くなります。

ついこのような話し方をしてしまう人は、単純に準備不足だと思いましょう。

その場で考えながら話すことで、冷静に情報を整理する余裕がなく、伝えることに精一杯で聞き手への配慮にも気が回りません。話は一方通行で、聞き手がどのように反応できるのかに、意識が向かないのです。