外科医の数が減っている。2004年は約1万8000人だったが、20年は1万1000人以下。なり手がいない中、大阪医科薬科大学の消化器外科医・河野恵美子さんが取り組む女性外科医を手厚くサポートするための活動とは――。

※本稿は、『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。

女性目線の外科医として多くの患者を救いたい

2023年7月、日本消化器外科学会は、学会として「男女の均等な活躍を支援すること」「目標を達成するために定期的に男女の消化器外科医の手術執刀数を検証すること」などを内容とした「函館宣言」を発出した。

「やっとここまできたか……」

大阪医科薬科大学の消化器外科医・河野恵美子さんは大きな感慨をもった。

大阪医科薬科大学の消化器外科医・河野恵美子さん
大阪医科薬科大学の消化器外科医・河野恵美子さん[出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)]

「宣言」の背景には、河野さんがまとめ上げ、世界的な学術誌が認めた女性消化器外科医に関する論文があった。

「外科を志したすべての人が活躍できる社会にするために、さまざまな活動を行ってきました。そのことが、一人でも多くの患者さんを救うことになると信じているからです」(河野さん、以下同)

宮崎医科大学医学部を卒業後、河野さんが目指したのは外科医だ。

「がん治療に取り組みたいという思いがありました。がんにはさまざまな治療方法がありますが、『自分の腕でがん細胞を取り除くことができる』という外科医の仕事に大きな魅力を感じたのです」

外科医として、先輩医師と共に多くの執刀をこなしてきたが、外科医の仕事は手術をして終わりではない。術後の経過を見守り、退院するまで手を抜くことは許されない。

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