アイスクリーム業界において、単品アイスで最も売れているのは森永製菓の「チョコモナカジャンボ」だ。発売から50年以上たっても愛され続ける理由は何か。経済ジャーナリストの高井尚之さんがリポートする――。
チョコモナカジャンボとバニラモナカ
撮影=プレジデントオンライン編集部

1年で約2億個売れる「チョコモナカジャンボ」の秘密

2024年夏の期間(6~8月)の日本の平均気温は、速報値で昨年と並んで過去最高となった。特に気温が高かったのは広島や福岡などの西日本だ。(2024年9月1日、ウェザーニューズの発表)また、8月は歴代2位の高温だった。

アイスも売れたことだろう。各地の小売店で気軽に買える「家庭用アイスクリーム」にはロングセラーブランドが多いが、単品で最も売れるのは森永製菓の「チョコモナカジャンボ」だ。年間約2億個を販売する。

発売開始は1972年(発売時の商品名は「チョコモナカ」)と半世紀超のロングセラーだ。2013年に全国発売された姉妹品「バニラモナカジャンボ」ともカニバリ(売り上げの共食い・奪い合い)しないという。

なぜ人気が続くのか。ブランドの責任者に両商品のこだわりを聞いた。

ジャンボブランドを担当する中村望さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
ジャンボブランドを担当する中村望さん

「夜のご褒美」ではなく「おやつ」として人気

「2023年度(2023年4月~2024年3月)のチョコ+バニラのジャンボブランド全体の売り上げは前年比112%と非常に好調でした。昨夏は過去最高の暑さとなり、複数個が入った『パリパリバー』などのマルチパックも好調でした」

とは、森永製菓 マーケティング本部 冷菓マーケティング部(アイスクリームカテゴリー) ブランド担当の中村望さん。

「また近年では、アイスを小分けにして複数回に分けて召し上がる方が増えました。そうしたこともあり、チョコモナカジャンボは夏だけではない通年商品となりました。それも売れ行きに関係していると感じます」(中村さん、以下同)

アイス業界では単品(1個売り)をノベルティ、複数個をマルチパックと呼ぶが、チョコモナカジャンボは単品でも割って食べられる。発売時は8だった“モナカの山”も現在は18あるので、小分けして食べるのにも向く形状だ。

「2020年から始まったコロナ禍で、弊社でもさまざまな商品が苦戦しましたが、アイスは逆に定着したと思います。在宅勤務での息抜きで選ばれたりしていました」

コロナ禍当初は、「それまで目立たなかった9時~11時台、13時~14時台にアイスを買う人が増えた」という話も聞いた。職場で同僚と執務ではなく、時間の調整がきく在宅勤務が多かったからだろう。現在はどうか。

「コンビニのデータでは、チョコモナカやバニラモナカは14時~17時の購入が最も多いです。お昼ごはんの後に食べるのではなく、おやつとして買われています」