くら寿司USAが成功したワケ
日本食の代名詞といえる寿司に、エンタメ性を掛け合わせた回転寿司。コロナ禍明けの外食回帰も相まって、富士経済によると、2023年の市場規模は前年比で108.8%の7829億円、2024年見込みも同105.5%の8261億円と、成長基調が続く。
市場が成長し続ける背景には、出店エリアの拡大もあるだろう。これまでの回転寿司といえば、ロードサイドへの出店が多かったが、昨今は都心部の出店も目立つ。中でも、くら寿司は勢いが戻りつつあるインバウンドへの認知拡大を期待する「グローバル旗艦店」を拡大し、海外事業も好調だ。
コロナ禍明けとなった2023年10月期は、売り上げが前期比115.5%となる約2114億円、営業利益も約24億円と、3期ぶりの黒字化を果たした。特に大きく成長したのが国外で、2019年に米ナスダック市場に上場した米国法人は売り上げが前期比151.3%を記録し、通期として上場以来初の経常黒字となった。
2019年 70億9600万円
2020年 48億7900万円
2021年 69億5200万円
2022年 171億7300万円
2023年 259億7500万円 (2024年8月末決算より)
米国市場を巡っては、今年4月にスシローを運営するFOOD& LIFE COMPANIESがボストンに店舗をオープンした(居酒屋業態)。一方、くら寿司は2009年に米国第1号店を開店。2024年7月末時点で64店を展開している(すべて回転寿司業態)。店舗によっては食事をするのに時に8時間待ちとなることもあるそう。
くら寿司の広報宣伝・IR本部 広報部 マネジャーを務める辻明宏氏は、「先行者利益を生かし『回転寿司といえばくら寿司』となるようにしていきたい」と意気込む。
また、アジア市場でも2023年10月期の売り上げは大きく伸びた。前期比35.3%増の約215億円で、新たに中国本土1号店の「くら寿司 上海龍之夢中山公園店」もオープンし、台湾では6つの新規出店を果たすなど、今後の成長に向けて海外市場への期待度は高い。