スダチ代表・小川涼太郎さんは、不登校の子がいる家庭に有料の支援サービスを提供している。SNSでは「怪しい」「不登校で金儲けをするな」などと批判的な投稿がされることもある。なぜ再登校支援を「ビジネス」にしたのか。小川さんにその真意を聞いた――。(後編/全2回)。
小川涼太郎さん
写真=本人提供

前編からつづく

子どもの反発を恐れてはいけない

――スダチの不登校支援では、不登校の子どもがスマートフォンやタブレット、テレビを使用することを禁止しています。これに「そんな乱暴なことをしたら親子関係が壊れる」という批判の声があります。どう考えていますか。

デジタル機器の使用を制限するのはあくまでも、親子の間でコミュニケーションをきちんと取れるようにするための準備です。「制限しさえすればうまくいく」と考えているわけではありません。子どもをたくさんほめて愛情をしっかり注ぐとか、生活習慣を整えるといったことを並行して進めることが大前提です。

僕たちは不登校を解決するには正しい親子関係を築くとか、子どもの自己肯定感を高めるといった条件を整えることが必要だと考えているのですが、デジタル機器はそれを阻む大きな壁です。デジタル機器の利用を制限しない限り、子どもはゲームやインターネットなどのデジタル依存に陥ってしまい、生活習慣も整えられないし、親子の関係もうまく作れないからです。

たしかに制限したら一時的には関係が悪化したように見えるかもしれません。でも僕らが今まで見てきたケースで言うと、ある程度の反発はあるにせよ、その反発が収まったタイミングで初めて親子でまともなコミュニケーションが取れるようになって、子どもとの関係がよくなっていくんですよね。むしろそこからが、親子の関係を作り直す勝負なんです。

病気に例えるなら、薬を飲むことで一時的には副作用が出たりするかもしれないけれど、根治できるのだとしたら、この一時的なマイナスは長期的に見ればプラスじゃないですか。でも、薬を飲まずに病気をそのまま放置したら最悪の事態に陥る可能性もあります。