漢字が読めず掛け算もできない中学生

――内閣府によれば、全国で引きこもりの人は推計146万人。その中には、不登校が長引いてそのまま引きこもりになるというケースも少なくないようです。

最近も、仙台市が行った調査で、引きこもりになったきっかけとして不登校を挙げた人が22%に上ったというニュースがあり、やはり不登校とひきこもりはつながっているんだなと感じました。

ただ、スダチの事業は始まってからまだ4年ぐらいしか経っていないので、サポートしたお子さんたちもまだ大人になっていませんし、スダチでサポート対象にしているのは現在のところ高校生までなので、不登校から大人の引きこもりになったケースを直接見ているわけではありません。

その中で話をするなら、僕らがサポートした中には、何年も不登校で、ずっとゲームばかりしていて足の筋肉を動かさなかったものだから、うまく歩けなくなったお子さんもいました。体力がかなり落ちていましたね。

小学校低学年から6年くらい不登校だったケースで、掛け算などの簡単な計算もできなければ漢字も読めないというお子さんもいました。だから電車も乗れないし、お金の計算もできないんです。小学校の基本的な学力を身につける大事な時期が抜けてしまうと、本当に厳しいんだなというのをその時に感じました。

「早い段階でお子さんを救ってほしい」

学力とか生活習慣とか運動とか、人として身に付いていて当たり前なところがしっかりできているならば不登校のままでいいかもしれないけれど、できていないのなら、社会人として生きていくのは難しくなってしまうと思う。それは親御さん自身がたぶん一番分かっていると僕は思うんです。親御さんなら誰しも、それはまずいと思っているし、わが子はこれから社会でやっていけるのかと不安を持っていると思います。

だから大人になる前のもっと早い段階でお子さんを救ってあげてほしいなと思うんです。

一人で座っている悲しい少年
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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