不登校の家庭に多い「親子関係の逆転」

――不登校のお子さんのいる家庭の親子関係にはどんな特徴があるのでしょうか。親子関係を作り直すとはどういうことですか。

不登校のご家庭は、基本的に親子関係が逆転気味になっているケースが多いと思います。お子さんが上の立場になって、親御さんが言いなりになってしまっているパターンですね。

だからといって親御さんが悪いわけでは全くありません。ただ、お子さんのことを思って寄り添い続けたらそうなってしまったというパターンが多いんです。でも子育てにおいてはまず、親御さんが主導権を握らないといけない。

会社の上司と部下の関係と同じです。上司がきちんと決断を下さず、部下に「全部決めて」なんて言って責任を取らないのはダメですよね。それに、あまりリスペクトされていない上司にほめられても部下は喜んでくれないですよね。

親子関係を正さないまま、いろんな言葉をかけたところで、全く響かないのが現実です。親御さんが主導権を握って、リスペクトされるような存在になることで初めて、親御さんの言葉が子どもに届くようになる。褒めてもいい立場になれるんです。そうすれば、子どももやると誓ったことはしっかりやるようになるし、親の褒め言葉も響くようになって、親子関係がよくなっていくんです。

ベッドルームで遊ぶ母と娘
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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親が主導権を取り戻す方法

――そうは言っても、親がポジションを取り戻すのはなかなか大変です。

デジタル制限や、家庭のルールを決めて発表することは、親御さんの立場を取り戻すために必要なプロセスです。そこで初めて主導権が親御さんの側に渡ることになる。

今の日本には、寄り添いの沼にはまって親子関係が逆転してしまうという罠があるんです。いい親になりたいと思って寄り添ってきたことがかえって災いして、子どもから見ると親が頼れる相手でなくなってしまい、不安になってしまう。むしろ毅然として、ダメなものはダメと厳しく言う親の方が、子どもにとっては安心感があるんです。