「寄付金の着服」で番組の存続が危ぶまれた
「偽善」「感動ポルノ」などと常に「バッシング」の対象にされてきた日本テレビ系「24時間テレビ」が今年もまた放送される。昨年11月には、系列局の日本海テレビジョン放送(鳥取市)の幹部社員が寄付金およそ137万円を着服した事件が発覚。番組の存続が危ぶまれる事態になっていた。
昨年の世帯平均視聴率は11.3%で、22年の13.8%から2%以上も低下した。放送終了時に発表された募金額は2億2223万8290円で、22年の3億1819万4209円に比べて1億円近くも減った。
視聴率も募金額も「下げ傾向」にある。さらに番組のサブタイトルもかつての「愛は地球を救う」から今回は「愛は地球を救うのか?」と変わり、自信ない印象に見える。それでも日テレが番組を続ける理由は一体何なのか。
「24時間テレビ」は1978年にはじまったチャリティー番組だ。「愛は地球を救う」を初回から掲げ、障害者や高齢者福祉・支援の必要性を伝え、推進することを目指している。今では日テレの代表的な大型長寿番組になった。
一部のネット記事では、「視聴率を獲れて、お金までもうけることができるのだからやめるという選択肢があるはずはない」という理由が述べられているが、それはまったく的外れな指摘だ。
「24時間テレビ」の総製作費は4億円を超えると言われている。そんな大金をかけて視聴率11%しかとれないのでは、コスパや費用対効果が悪すぎる。これでは、「視聴率が獲れている」とは言えない。
日テレが「24時間テレビ」を作り続ける理由
また、事業年度の今年5月末までの集計で8億4805万9341円となった寄付金総額の使用用途は「キャッシュレス募金の手数料を除き、経費を差し引くことなく福祉・環境・災害復興などの支援事業」(公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会HPより)なので、番組予算の補填にはならない。したがって「お金がもうかるから」という理論も成り立たない。
では、なぜ日本テレビはそんな逆境のなかでも「24時間テレビ」を作り続けようとするのだろうか。そこには、近年起こっているテレビ局の構造的欠陥からくる「ほころび」が原因として潜在している。