日本との決定的な違いはビジネスの効率性にあり

デンマークのビジネスパーソンは、午後3時を過ぎるとそそくさと帰り支度を始めます。4時頃には保育園にいる子どもを迎えに行かなくてはならないからです。夕方以降は家族で過ごす時間、食事は必ず家族揃ってテーブルを囲み会話を楽しみます。

空から見たコペンハーゲン市街
写真=iStock.com/Ingus Kruklitis
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子育て家庭をデフォルトに業務時間が設定されているので、独身や子どものいないビジネスパーソンも同じように4時頃には帰宅します。5時を過ぎると、オフィスにはもう誰もいません。土日はしっかりと休み、夏休みは3週間ちかくもあります。

日本に比べると、かなりのどかな職場風景だと思いますが、それでいて2022年の一人あたりGDPは6万7744ドルと日本の倍以上(日本は3万4064ドル)。人口590万人と千葉県よりも少ない規模の国が、国際競争力ランキング(※)では去年まで2連続の1位、今年は首位から陥落したものの世界3位(24年、日本は38位)と存在感を示しています。

※IMD(国際経営開発研究所)が世界の主要約60カ国を対象に毎年ランキングを発表している。

日本でも知られた企業には玩具のレゴ、ビールのカールスバーグ、風力発電のべスタス、コンテナ船のマースク、製薬大手のノボノルディスクなどがありますが、産業を下支えしているのは従業員50人未満の中小企業(全企業の98.5%)です。

日本の中小企業は職場環境の改善で大企業の後塵を拝しがちですが、デンマークでは正反対になっているのが興味深いところです。中小企業こそ「デンマークらしい働き方」を体現しており、社員に優しい職場づくりをリードしているのです。

国際競争力ランキングは、経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、インフラという4つのカテゴリの総合評価で決まります。デンマークが圧倒的に強いのは「ビジネスの効率性」(5年連続で1位)で、日本が決定的に弱い(51位)のもこのカテゴリです。

このように書くと「日本とはビジネス環境や制度が違うから」「小さな国だからこそ実現できることでは」と思われるかもしれません。それは確かにその通り。日本には日本の良さがあり、長年かけて培ってきた制度ややり方があります。

しかし、日本でも近年は「働き方改革」を契機に、子育てと仕事の両立や男性の家事・育児参画、ワークライフバランス、境界マネジメントなどが関心を集めています。人生における仕事の位置付けや新しい働き方のスタイルを模索するとき、デンマーク人の仕事ぶりは日本人にも参考になると考えます。

私は日本の大学院でデンマークの労働市場政策を研究し、09年に移住しました。以来14年以上にわたって、デンマーク人のライフスタイルを社会学的アプローチから調査研究し、メディアで発信してきました。本稿ではデンマーク社会やデンマーク人のリアルから、皆さんの職場環境を改善するヒントを見つけていただけたらと思います。