転職を迷ったとき、何を決め手にすればいいか。デンソーを辞め、45歳でブルーベリー農園を開いた畔柳茂樹さんは「私の場合、20代の頃から14の質問を自分に投げかけていた。40代前半で答えがすべて『No』となり、会社を辞めることを決意した」という――。

※本稿は、畔柳茂樹『デンソーと農園経営から得た教訓 会社から逃げる勇気』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

電車に乗る人
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一様に暗い表情でスマホを眺めている

月曜日の朝、気持ちよく会社に行けますか?

こう聞かれて、すぐ「Yes」と答えられる人は、果たして何人いるだろうか。現在の私は、迷いなく「Yes」と答えられる1人だが、世間では本当に少数派に違いない。

なぜ少数派と言い切れるかというと、月曜日の朝の通勤電車に乗ってみればすぐわかる。まるで「地獄行きの列車」に乗り合わせてしまったかのような重苦しい雰囲気で、一様に暗い引きつった表情でスマホを眺めている。

電車を降りてからも、その表情は変わることなく、うつむきながら足早にオフィスビルに向かう。それは自らの意志で主体的に仕事に行くのではなく、否応なしに不思議な力によってオフィスビルに吸い込まれていくかのように見える。

私もかつては同じだった。今では通勤電車に乗ることはめったにない私だが、たまたま乗り合わせると辛くて苦しかったサラリーマン時代を思い出す。すぐにやらなければいけないこと、今週中に片づけなければならないこと、課題にどう対処するか、など電車に揺られながら仕事のことが次から次へと頭の中で堂々巡りする。吐き気を催すことも珍しくなく、陰鬱な気持ちで会社に向かっていた。

「やりたいこと」を仕事にしているか

あの満員の通勤電車の中に日本の明るい未来は見えない。もし子どもや学生があの電車に乗り合わせたら、「早く大人になりたい」「早く仕事がしたい」と果たして思うだろうか。

なぜ、あそこまで息が詰まるような空気感なのか、理由は簡単だ。

それは、「好きなこと」「やりたいこと」を仕事にしていないからだ。今の私には「やらされ感」はまったくない。すべて自らやりたいと思うことを仕事にして取り組んでいる。曜日や時間に囚われることもない。時には土日も働くし、長時間労働もする一方で、早々に仕事を片付けてジム通いしたり、しばらく休んで海外旅行したりする。

月曜日だからといって特別な感覚はないが、正社員のスタッフ2名が土日休みで月曜から出社してくるので、程良い緊張感がある程度だ。いずれにせよサラリーマン時代と独立起業してからでは、雲泥の差があるが、ここまで激変したきっかけは何だったのか。