すべてが「No」になると「抜け殻」状態

最後まで「Yes」で残っていたのは、④の「自分は会社にとってかけがえのない存在」というところだ。自分の代わりは自分しかいないと自分に言い聞かせていたから、課長職に昇格できた。また⑭の「仕事や会社生活を通して、自己実現できるか」は実に重くて辛い質問だった。

心理学者のユングによれば、自己実現とは「自分の内なる能力を最大限発揮して、自分らしさを体現する」ことだ。今の私には自己実現など到底できるはずもないと感じていた。

そして管理職に昇進して数年後の40代前半で答えはすべて「No」となった。

すべてが「No」とはどういう状態なのか、想像してほしい。これは長期間にわたり、過度のストレスや不安により、心身ともに疲れ果て、エネルギーを失った「抜け殻」の状態だ。このまま放置すれば、うつ病など精神疾患を患う可能性が高く、すぐに何かを変えなければならない危機的な状況と言える。

部屋の隅に座っている人
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未来に希望を持てない人は実に多い

みなさんもこの問いに「Yes」か「No」で素直に答えてほしい。

「Yes」が半分以上あれば、モチベーションも高く、今の仕事に十分やりがいも感じられるから心配はない。「No」が半分以上になれば、何か転機が来ていると考えるべきだ。

「Yes」が3つ以下なら相当追い込まれた状態だから、事態を好転させるためにすぐに何か行動に移すべきときだ。そしてすべてが「No」に変わったら、もう時間の猶予はない、今すぐ行動を起こすべきだ。

私が会社を辞めるという決断をするまでに3年ほどの時間がかかった。自分の身の振り方は、あくまで個人の判断に委ねるが、10年ほど前からブルーベリー観光農園の起業セミナーを開催していて、気づいたことがある。

それはセミナー参加者を見ていると、世の中には私と同じようにサラリーマンとして行き詰まり、未来に希望の光が見出せなくなってしまった人が実に多いことだ。