国連による世界幸福度ランキングで、フィンランドは7年連続で1位となった。51位の日本と何が違うのか。スウェーデン在住の近藤浩一さんは「16時、17時には帰宅して、家族と一緒に過ごす人は多く、残業をする人はほとんどいない。家族や友人、趣味に使える自由な時間が確保されているから皆が幸せでいられる」という――。

※本稿は、近藤浩一『北欧、幸福の安全保障』(水曜社)の一部を再編集したものです。

幸福度の高い北欧はワーク・ライフ・バランスも優れている

フィンランドの幸福度が高いことはよく知られていますが、スウェーデンも国連の幸福度レポートで上位に位置し、2024年には世界4位にランクされています。

幸福度が高い要因の1つとして、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方があります。2023年に米雑誌フォーブスが発表したワーク・ライフ・バランスの取れた各国の都市ランキングでは、2位のヘルシンキの次にスウェーデンの首都、ストックホルムも3位にランクインしています。

空から見たスウェーデン・ストックホルムの風景
写真=iStock.com/scanrail
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一般的なスウェーデンの働き方を紹介すると、勤務時間は基本的に8時間です。通常、多くの人は朝早く出勤し、夕方の4時や5時頃に早く帰宅して家族と一緒に過ごし、残業する人はほとんど見かけません。

フィンランド出身の妻によれば、フィンランドでも、残業せずに家に帰り、家族との時間を大切にする人が多いそうです。これは、両国がヨーロッパ連合(EU)の労働規定を守り、労働者の良好な労働条件を確保する努力をしているためです。そのおかげで、多くの人が定時で帰宅できています。

また、スウェーデンやフィンランドでは、多くの企業が職場環境の改善に力を入れています。フィットネスジムやマッサージ施設を福利厚生として提供する企業もあり、労働時間内であれば施設を利用することも認められています。このような柔軟な働き方は日本の企業と比較して自由度が高いといえます。

全ての社員に平等に出世の機会が与えられている

さらに、北欧では社員が自らキャリアを設計するのが一般的で、会社や上司による指示ではなく、個人による選択が尊重されています。たとえば、ほかの職務に関心がある場合、上司に相談することも可能ですが、社内のイントラネットの求人から、上司に相談せず直接応募もできます。採用されると、上司が異動を拒否することは困難であるため、ほとんどの場合スムーズに異動できます。

職務変更だけでなく、出世についても同じで、空いた上位職には自部署やほかの部署を問わず、自由に応募できます。ただし、採用は個々の職務経歴や人物を考慮して行われるため、もちろん誰もが採用されるわけではありません。それでも、出世の機会は全ての社員に平等に提供されています。