人脈づくりには「誘っても断られたら……」「周囲からゴマすりと思われたら……」と躊躇しがちな壁がありますが、声をかけることを厭わない人脈づくりの天才がまれにいます。
天才を目の当たりにすると普通の人は焦ってしまいます。かつて私自身もそうでした。しかし、人脈づくりはあくまで手段。私は若手社員に対し、「したたかになれ」とアドバイスしています。
組織貢献しようというベクトルが上向きの人には、基本的に誰でも応援したくなるものです。成果を出すためには誰と組むべきかをしたたかに考え、合理的に関係を広げていけばいいのです。
「○○ください」はNG。相手への興味を示せ
2つ目は、相手に興味を持つこと。人は自分に興味を持ってくれた人に興味を持つ特性があります。
例えば、誰かに会ったら相手のいいところを見つけ、その秘訣を教えてもらう。そうすると、相手は自分の仕事哲学やエピソードを話してくれるはずです。学ぶ姿勢のある人は好感を持たれます。
人脈とは「電話一本でお願いができる」関係です。そうした関係を築くには合理性に加え、情緒的な部分も欠かせません。
言っていることは正しいのに、なぜか力になりたいとは思えない人がたまにいます。会った瞬間に「○○ください」ばかり言われても、なかなか協力する気にはなれません。「あなたに興味があって、あなたの教えを請いたい」という姿勢が伝われば、相手も心を開いてくれるはずです。
私は社内で「会いたい社員を3人リストアップしてランチに行け」と言っています。3人会えば1人は相性の合う人がいますから、その人に「困ったときの相談相手になってください」とお願いする。それを続けていくと、やがて社内人脈は豊かになるはずです。
3つ目は、信頼残高を増やすこと。そのためには、1つひとつの仕事で結果を残すしかありません。
気づいたら重要情報が入ってくるようになったというのが理想でしょう。それは、あなたの仕事が認められ、会社の信頼残高ランキングで上位に食い込んだときなのです。
1974年、神奈川県生まれ。上智大学文学部卒業。伊勢丹を経て99年、同社入社。2008年より現職。毎月100人以上の社員と昼食や夕食をともにしているという。著書に『サイバーエージェント流 成長するしかけ』など。