2025年度までに「約7割削減」を決めていたが…

JR東日本は5月8日、2021年以降進めてきた「みどりの窓口」の削減を凍結すると発表した。2022年度は有楽町や大崎、2023年度は浜松町や恵比寿など都心の主要駅でも窓口が廃止された結果、限られた駅に高齢者や訪日外国人が集中した。年度末やGWに大混乱が生じたことを受け、削減方針を再検討するというのである。

2022年12月10日、JR東日本・松本駅の有人窓口(みどりの窓口)
2022年12月10日、JR東日本・松本駅の有人窓口(みどりの窓口)(写真=MaedaAkihiko/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

同社は2021年5月11日、「チケットレス化・モバイル化を推進し、『シームレスでストレスフリーな移動』の実現に向けた乗車スタイルの変革を加速します」と題して、オンライン化・チケットレス化の促進と、みどりの窓口を2025年度までに約7割(首都圏は231駅から70駅程度、地方では209駅から70駅程度)削減すると発表していた。

みどりの窓口は現時点で目標の半分程度、209駅まで削減されているが、当面はこの数を維持する。また、閉鎖直後で設備が残る一部の駅では、利用に応じて臨時窓口を設置できるようにする。

コロナ禍ではさまざまな分野でオンライン化やキャッシュレス化が加速した。業務の合理化のみならず、さらに高度なサービスの提供にはデジタル化が不可欠であり、JR東日本はコロナ前から営業制度の刷新を試みてきた。

なぜ大失敗に終わったのか

2018年4月にSuicaで新幹線自由席を利用できる「タッチでGo!新幹線」を導入し、2020年3月にオンライン予約サービス「えきねっと」で購入した乗車券を、Suicaに紐づけてチケットレス利用できる「新幹線eチケットサービス」、2021年6月には「えきねっと」をリニューアルした。

同社の発表によれば、近距離以外の乗車券類のうち、みどりの窓口で購入された割合は2010年度の約50%から2019年度は約30%、2020年度は約20%まで低下していた。この機にあと一押しすれば一気に転換するという目論見があったのだろうが、結果から言えば大失敗に終わった。何が問題だったのだろうか。

乗車券類は1950年代半ばまで、都市部で一部に手動レバー式自動券売機が導入されたことを除けば、すべて駅窓口で対面販売されてきた。高度成長期に近距離きっぷを取り扱う電動式自動券売機が登場するが、やはり多くの乗車券類は人間が発券していた。

この頃の特急列車はすべて指定席だったが、その管理は駅から乗車券センターに電話し、センターにある台帳に記入して行っていた。しかし高度成長を迎え、列車の本数はうなぎのぼりに増えていった。指定座席数は1958年10月の2.2万席から1964年10月には約16.5万席まで増えている。