改札に色々な読み取り部がくっついている

最近、東急田園都市線で、切符投入口の手前にQRコード読み取り部と新しいタッチ端末が張り出す、ものものしい自動改札機を見た、という人はいるだろうか。4種類の乗車券に対応したこの自動改札機、QRコード乗車券やクレジットカードのタッチ決済で入出場できる「Q SKIP」サービスの導入を見据えた実証実験のため、今年8月から設置されているものだ。

「クレジットカードのタッチ機能」および「QRコード」に対応した改札機
「クレジットカードのタッチ機能」および「QRコード」に対応した改札機(画像=東急電鉄「『クレジットカードのタッチ機能』『QRコード』を活用した乗車サービスの実証実験を8月30日(水)から開始」より)

2020年以降、関西では南海電気鉄道、泉北高速鉄道、九州では福岡市地下鉄、JR九州でクレカ決済の実証実験が行われており、南海グループは昨年12月にタッチ決済乗車サービスを正式導入している。

一方、JR東日本は昨年末から首都圏の自動改札機の更新に着手し、一部の通路にQRコード読み取り端末を設置している。コストのかかる紙(磁気券)のきっぷを廃止するため、QRコードの活用が注目されていることはたびたびニュースでも取り上げられているが、同時にタッチ決済が続々と導入されていることは、あまり知られていない。

タッチ決済が遅れていた日本でも1億枚を突破

今年4月には、前年から実証実験を行っていた江ノ島電鉄が、首都圏の鉄道事業者としては初めて正式にサービスを開始。万博を控えた関西では、今年夏に神戸市営地下鉄、大阪モノレール、神戸新交通(ポートライナー)が2024年春の導入を発表。そして11月2日には近畿日本鉄道、阪急電鉄、阪神電鉄が、2024年中にタッチ決済乗車サービスを全線全駅に導入すると発表した。

急速に拡大するタッチ決済とはどのようなサービスなのか。クレカは磁気ストライプを読み取り部にスライドさせるか、ICチップを端末に差し込む方法が主流だが、ヨーロッパやオセアニア、近年ではアメリカでもサインや暗証番号入力が不要のタッチ決済が広く普及している。

日本のタッチ決済インフラ整備はヨーロッパに比べて5年ほど遅れていたが、米決済大手のVISA日本法人によると、2013年に1000万枚だったタッチ決済対応カードの発行枚数は今年3月に1億枚を超えており、近年のキャッシュレス化の流れを背景に、利用も伸びつつある。

タッチ決済サービスはVISA、Mastercard、JCB、Diners Clubなど大手ブランドがそれぞれ提供しているが、先頭を走るのはVISAだ。日本ではカード発行会社の「三井住友カード」、交通用決済・認証プラットフォームを専門とする「QUADRAC」と組んでサービスを展開する。