新幹線の開業時は大混乱を呼んだ
こうなると人力の管理では追いつかず、1964年10月に鳴り物入りで開業した新幹線でさえも、満員と断られたのに乗ってみたらガラガラだったとか、苦労して手に入れた特急券がダブルブッキングだった、そもそも特急券を買うのに数時間待ちなど、乗客の不満が高まっていた。
そこで国鉄は当時最新の電子計算機技術を総動員し、駅とホストコンピュータをオンラインで接続して予約と発券を自動で行うシステム「マルス」を開発し、1965年から本格運用を開始した。そしてこの時、主要152駅にマルス端末を備える「みどりの窓口」を設置したのである(この他、日本交通公社の83営業所に設置した)。
以降、券売機以外できっぷを買うなら「みどりの窓口」に行くというのが常識となり、その名は国鉄民営化後も引き継がれた(JR東海のみ後に改称)。指定席特急券を取り扱う自動券売機が登場するのはマルス導入から約30年後の1993年のことであったが、1990年代末から2000年代にかけて主要駅を中心に拡大していった。
多機能券売機も早く撤去したいJR東の本音
余談だが筆者は2000年代初頭、JR東日本の駅員アルバイトをしており、その業務のひとつが指定席券売機の案内業務だった。導入当初だけでなく、その後もしばらく(もしかすると今も)案内要員を置いたことからわかるように、誰にでも使える機械ではなかったのが実情だ。
一部の企画乗車券や、係員のチェックが必要な割引券、通常のきっぷであっても行き先や乗り継ぎによっては発券できないケースがあり、完全に代替することはできなかった。
自動券売機でみどりの窓口を代替させる動きが本格化するのは2000年代後半以降である。JR東日本はマルスのシステムを使い、特急券だけでなく乗車券、定期券などの発券や指定券の乗車変更、払い戻しなどに対応した多機能券売機の設置を拡大した。
また「もしもし券売機 Kaeruくん(2005~2012年)」、「話せる指定券発売機(2020年から導入中)」といったマイクとカメラを用いてオペレーターが遠隔対応するシステムの導入も進めており、これらと引き換えにみどりの窓口の整理に着手した。
ただ近年は多機能券売機でさえも撤去が進んでいるのが実情だ。JR東日本からすれば人から機械にとどまらず、一気にオンライン販売、チケットレスへ移行したいのが本音である。その受け皿となるのが「えきねっと」だ。