「週末」「○日以降」「おはようございます」など日時に関する言葉の意味を正しく把握しているか。NHK放送文化研究所主任研究員の塩田雄大さんは「年代や性別によって解釈が変わる言葉もあるため、誤解が生じないように注意が必要だ」という――。

※本稿は、塩田雄大『基礎から身につく「大人の教養」NHK調査でわかった日本語のいま 変わる日本語、それでも変わらない日本語』(世界文化社)の一部を再編集したものです。

「週末」っていつのこと?

Q:金曜日は、「週末」に含まれるのでしょうか。また、日曜日はどうでしょうか。

A:「週末」が具体的に何曜日のことを指すと考えるのかは、人によってかなり異なります。そのため、厳密さ・正確さが求められるような場合には、「週末」ではなく別の言い方をすることも考えてみたほうがよいでしょう。

まず、『NHKことばのハンドブック(第2版)』(2005年)の「週末」の項(p100)では、このように示しています。

「週末」は、指す範囲があいまいなので、注意する。
①土曜日
②土曜日と日曜日
③金曜日の夜から月曜日の朝まで

「週末」が実際にはどのように解釈されているかについては、1999年に全国調査をおこなったことがあるのですが、2018年にあらためて調査してみました。

まず全体の結果を見てみると、「週末」は「土曜日と日曜日」を指すという回答が半数近くを占めて主流派になってはいますが、ほかの回答も決して少なくありません。「週末」の解釈は一様ではないことがわかります。

性別や年代によって解釈は異なる

またこれらの回答を整理して、「金曜日は『週末』に含まれる〔=金曜日のみ+金曜日と土曜日+金曜日の夜から日曜日の夜まで〕」「日曜日は『週末』に含まれる〔=土曜日と日曜日+日曜日のみ+金曜日の夜から日曜日の夜まで〕」という形にまとめ、それを年代別・男女別に見てみると、こんな違いが表れてきます。

▼ 全体として高齢層では、金曜日および日曜日が「週末」に含まれるという人が、それぞれ必ずしも多くない(「含まれる」の線が、いずれもゆるやかな右肩下がりになっている)

▼ 男性は金曜日を「週末」に含める傾向が強く、女性は日曜日を「週末」に含める傾向が強い

日曜日を「週末」に含めないという考え方もあるのは、特に若い人たちにとっては意外に感じられるかもしれません。しかし、たとえば1週間の始まりを日曜日だととらえた場合には、日曜日は「週末」ではないことになるのです。

最後にとっておきのアドバイスを一つ、スーパーの「週末セール」は、金曜や日曜でも安いのかを、必ず確認してから行くようにしましょう。