3年ごとに社員を異動させる人事制度

ダイナミックな目標を設定したなら、目標達成のために時代の変化に迅速に対応できる組織面でのイノベーションにも着手すべきだ。組織は、水と同じで、入れかわりがないと、淀み始める。意識的に手を入れなければ、硬直化することは避けられない。

企業が市場の変化を的確に取り入れ、事象に柔軟に対応するためには、社員をなるべく多彩な環境の新しい経験に触れさせ、常に新しい風を送り込む人事制度を構築することだ。

そもそも人は同じ環境にいるとチャレンジを怠るという習性を持っている。1つの部署に3年いると、仕事をすっかり覚え、決まったパターンで仕事をこなすようになってしまう。世の変化はめまぐるしい。だからこそ、仕事のやり方を常に革新していくべきなのだ。

あるアパレル小売業者は、社員を3年ごとにローテーションさせ、次々と異なる職務を担当させている。仮に3年後に古巣に戻ってきても、業務の内容も規模も進化しているので以前のやり方は通用しない。それによって、社員は世の中の変化を実感するし、仕事は革新していくものだと認識する。それが、社員にとって非常にいい刺激になる。この企業の成長の秘訣は、まさにこの人事制度にある。

1つの職務だけに携わっていると、ものの見方も発想も乏しくなる。ある経営者がこんなことを言っていた。

「社会になかった新しい価値を提供しようと毎日必ず1つ新しいアイデアを出すことを自らに課していたら、1週間で行き詰まってしまった」と。