今日のように変化の激しい時代には、(1)変化に応じたダイナミックな目標設定、(2)それを推進するトップの強力なリーダーシップ、(3)目標を遂行するための人事面でのイノベーション、の3つが必要になる。
この場合のリーダーのあり方は、戦争を例に挙げるとわかりやすい。
戦いの最前線で指揮をとる士官は、使命を全うし、部下全員を無事に連れて帰りたいと考えている。しかし、それが叶わないときもある。そんなときは、目の前の部隊の損失よりも、戦略上与えられた絶対的使命を果たすために、意を決して部下に「死を覚悟してくれ」と言わざるをえない。
経営者も「生活を向上させる新しい商品やサービスを世に送りだし、継続的に利益を出す」という企業の使命を全うするために、「この事業に見切りをつけないと会社全体が揺らぐ」「この人に辞めてもらわなければ、組織革新は実現できない」と見なしたら腹を括って「これ以上わが社にとどまるより、他の会社と一緒になって、事業の可能性を追求してくれ」「新しいビジョンに賛成し、その実現に努力できないなら、辞めてくれ」と、きっぱりと切り出さなければならないのだ。駄目になるのがわかっているのに、見捨てられない経営者は失格だといえる。
いち早く手をつけるか、どうしようもなくなるまで先送りするかはトップの考えと力量にかかっている。やっと重い腰を上げたはいいが、そのときにはすでに遅く、市場から退場せざるをえなくなった企業の事例はいくらでもある。
例えば、10年前と同じ看板で営業している銀行はいくつあるだろうか。銀行に限らず、世界競争にさらされた中で生き延びるには、事業部の売却・買収、会社の合併などをダイナミックに進めなければならない。