人材の新陳代謝が求められるようになった時代に、組織の一員として働く若手にぜひ意識してほしいことがある。それは「どの部署の、どんなポジションにいようとも自分たちは仕事の中心を担っている」ということだ。

若手と話をしていると、「今の勤務先の価値観は自分の志向と合わないが、だからといって勤務先を変えても同じだろう。それなら転職せずに今いる組織の中でもう少し力をつけリーダーと呼ばれるようになってから、企業の価値観を変えよう」と言う人が非常に多い。そういった人たちには「時間を決めて、このときまでに自分はこれをやってみる。それでも状況が全く変わらなかったら次に行くと、期限を決め、次の行動に移る決意をしておかないとダメだよ」とアドバイスしている。

新しいことにチャレンジするのは、エネルギーも体力もいる。「まだまだ」と言っていると、あっという間に年齢を重ねてしまう。また同じ場所にいると既得権益がだんだん増えてくるものだ。失うものが大きくなると、容易に足が抜けなくなってしまう。

小規模でも自分で仕切れる仕事があれば、進んで改革してほしい。リーダーにならなくてもできることはたくさんあることに気づくはずだ。

一例を挙げるなら、「所属する事業部門の目的は何か」「その中で自分たちの部署はどういう役目を果たすのか」「自分がどういう活動をすれば、事業が上手く運び、会社の最終目標を達成できるのか」「プロジェクトを成功させるために、長は何をすればいいのか。その長を支えるために自分は何ができるか」を考え、考えたことを実行する。そのようにして力を発揮すれば、会社全体がよくなる。企業は、組織力で勝負するもの。全社員が、常にリーダーであり同時にフォロアーなのだ。 

(大熊文子=構成)