自分の存在意義は自ら見つけよ

このように新陳代謝のよい人事制度が望まれる時代において、個人はどうあるべきか。

その答えは、「日頃から力を磨くこと」に尽きる。会社の肩書がなくても仕事ができるか自分に問いかけてほしい。そしてどこへいっても自分自身の実力を正当に客観的に評価してもらえるように、仕事の実績をつくっておくことが大切である。

ただし、いざ「おまえを切る」「おまえを外す」と言われたとしても、あまり深刻に考える必要はない。「今、この仕事に合うスキルを私は持っていなかった」というだけで、決して人格が否定されたわけではないのだから。そこに居続けても自分の能力では不十分、自分の能力は生かされないという事実を冷静に受け止め、「これをきっかけに新しいスキルを得よう」「次は自分が生かせるところで仕事をしよう」「これから、自分が経験していない未知の業務にチャレンジできる」と、ポジティブに動き出せばいい。

ただ、どんな職務が自分には向いていないかについては、ここでしっかり分析しておきたい。

例えば、企画力に自信を持っていたのに力が認められなかった場合、潜在能力はあるが、環境がよくなかったとも考えられる。そんなときには、自分の適性について3回チャレンジして結論を出すといいと思う。2回目に、同じ業務を違うメンバーと組んでやってみてそこでも成果を出せなかったら、自分の能力に問題があるという可能性を疑ってみる。3回目も結果を出せなければ、確実に自分の能力に問題がある。そこで、初めて「自分には企画の仕事は向いてない」と結論を出すべきである。自分は企画に向いている、企画力があると思い込んでいたがそうではなさそうだということに納得してから、今後のことを考える。安直に結論を出してしまうと、キャリアの本質を見失いかねないので気をつけたい。

人にはそれぞれ独自の存在意義がある。自分の存在意義は自分自身で見つけて、達成しなければならないものだ。自分の関心は何か、どんな能力に秀でているのかを知るためには自ら動いて探すことが第1だ。

企業で働くことは、自分の存在意義を見いだし、それを高め、社会に貢献する1つの手段にすぎない。自分の存在意義を見つけるプロセスを全面的に企業に依存し、指示されたことに不平・不満だけを並べているとしたら、それはお門違いである。