AIを使いこなすには、どうすればいいか。AI変革コンサルティングを手がけるブリングアウトCEOの中野慧さんは「商談の録音データそのものには価値はない。そこに『我が社独自の判断基準』というレンズをかざした瞬間、初めて意味が浮かび上がる」という――。

※本稿は、中野慧『生成AIで最強の組織が生まれる トップと現場をつなぐ一次情報経営』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

PC前に浮かぶAIエージェント
写真=iStock.com/tadamichi
※写真はイメージです

商談データをAIを通して企業の資源に変える

商談の録音データそのものには、価値はありません。ただの「音声波形」です。議事録のテキストは、ただの「文字の羅列」です。そこに「問い(レンズ)」をかざした瞬間、初めて意味が浮かび上がります。

これまで、この「レンズ」は、現場の担当者個人の頭の中にしかありませんでした。営業は「売れるかどうか」というレンズで商談を見て、開発者は「バグがないか」というレンズで製品を見る。それぞれのレンズで切り取られた一部分だけが、「日報」や「バグ報告書」として切り出され、残りの情報は捨てられていました。

しかし、AI時代のアプローチは違います。「1つの生データ」に対して、複数の「異なるレンズ」を当てることで、捨てられていた情報をすべて資源化するのです。

具体的にどういうことか。あるIT企業の「60分の商談録音データ」を例に、実際に3つの異なるレンズを通してみましょう。全く同じデータから、いかに異なる「真実」が見えてくるか、その解像度の違いに注目してください。