機能性表示食品は国のチェックが入らない

機能性表示食品という制度についても、さまざまな問題が指摘されています。

前述のように、国による製品審査は行われていません。特定保健用食品(トクホ)は、製品ごとに国の審査があり、安全性については内閣府食品安全委員会が食品健康影響評価を行っています。

一方、機能性表示食品は、国が機能性や安全性、品質管理についてガイドラインを示しており、企業はそれに従い検証し情報を消費者庁に届け出します。企業が自身の責任で機能性表示を行い販売し、消費者は消費者庁のウェブサイトで公表されている情報を自分で確認して購入摂取するかどうか判断する、という制度です。

今回問題になった小林製薬の紅麹サプリメントについても、消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」を調べれば、同社が届け出た情報をだれでも見ることができます。私は事件発覚後、チェックしてみて驚きました。あまりにも低レベルの“安全性確認”でした。

「健康被害の報告がないから安全」はおかしい

ガイドラインでは、安全性に係る事項について「まず食経験の評価を行い、食経験に関する情報が不十分である場合には既存情報により安全性の評価を行う。食経験及び既存情報による安全性の評価でも不十分な場合には、安全性試験を実施して、安全性の評価を行う」となっています。

食経験というのは、日本人のこれまでの食生活において食べられてきた実績があるかどうかを問うもの。これに対して、小林製薬が消費者庁に届け出た「安全性評価シート」で示していたのは、サプリメントとしての販売歴でした。

2018年からサプリメントとして20万食以上提供してきたことや、2007年からサプリメントの原料として販売をはじめ、2020年6月までに約17.5トン(=約1.75億食分)を国内外に流通させてきたが健康被害は報告されていない、としています。

これはおかしい。サプリメントとして販売されている場合、健康被害などの情報はまずは企業に入るのが普通です。健康被害が報告されていない、という主張に客観性がありません。