消費者庁は制度の問題点を洗い出すべき
小林製薬は、複数の大学と共に解明を進めていると記者会見で説明しましたが、同社が大学に調査費などを提供している以上、調査に第三者性がありません。当事者に調査を任せてよい軽微な事案ではありません。
また、消費者庁は、機能性表示食品の届け出手続きなどをすべてストップし、紅麹サプリメントの調査、制度上の問題点洗い出しを進めるべきです。また、安全性や品質管理等の見直しを全事業者に求め、第2、第3の“事件”が発生しないように姿勢を示すべき、と考えます。
消費者も、当該製品が手元にないか調べ、使用を中止しなければなりません。
また、情報にも注意を。麹菌と紅麹菌は区別しなければなりませんし、紅麹から抽出した「ベニコウジ色素」が食品添加物として用いられていますが、この添加物については「ベニコウジカビの培養液から得られた、アンカフラビンおよびモナスコルブリンを主成分とするもの」という規定があります。今回問題になっている製品と同一視はできません。
機能性表示食品の弱点はわかっていたが…
機能性表示食品について私は、制度がはじまった2015年からしばらく、「制度に問題あり」として記事を執筆したり、消費者団体の一員として疑義情報を消費者庁に出したりしていました。とくに、食経験として健康食品の販売実績が用いられていることや、安全性・機能性を確保するには製品の品質管理や品質保証が大前提なのに、その点が著しく弱いことを問題視していました。今でも、ウェブサイトで読める記事もあります。
その後、大量の機能性表示食品が届け出され一つずつの精査ができなくなったことや、個人的に忙しくなったことなどにより、機能性表示食品ウォッチングをやめてしまいました。
当時心配していたことが、もしかすると今、事件となり大量の健康被害につながっているのではないか。そう思えてならず、個人的にも悔いが残ります。
※記事は、所属する組織の見解ではなく、ジャーナリスト個人としての取材、見解に基づきます。
〈参考文献〉
小林製薬
消費者庁・紅麹を含む健康食品関係について
厚生労働省・「いわゆる健康食品」による健康被害事例
内閣府食品安全委員会・欧州連合(EU)、モナスクスの紅麹由来の食品サプリメント中のかび毒シトリニンの基準値の改正を公表
消費者庁・機能性表示食品について
内閣府食品安全委員会・「健康食品」に関する情報
消費者庁・特定保健用食品について
米食品医薬品局(FDA)・Draft Guidance for Industry: New Dietary Ingredient Notifications and Related Issues