ストレス耐性を上げる「ごっこ遊び」

では、どのようにしてストレス耐性をアップさせていけばいいのでしょうか。

自分自身に対しての上手なストレスのかけ方として、お勧めの方法の1つが、皆さんが子どものときにやっていた「ごっこ遊び」です。

将棋棋士の藤井聡太四段(当時)は、子どもの頃から、将棋で負けると悔しがって泣き、将棋盤から離れなかったというエピソードがあります。

大人から見れば、「子どもの将棋なんてただのゲームだし、ちょっと負けたくらいで泣かなくても……」と思うかもしれません。

ですが、藤井四段はすでに子どものときから自分へのストレスのかけ方を知っていたという見方ができるわけです。

大人から見ればたわいない遊びであっても、それに本気になって取り組む負けず嫌いな子どもというのは、やはりストレス耐性を高めるための優れた資質を持っているといえます。そして、そうした資質を遡ると、「ごっこ遊び」とつながっていることが極めて多いのです。

消しゴムを持って「ガタンゴトン、列車だぞー」と、どれぐらい本気で遊べるかということが、ストレス耐性のレベルを上げることに深く関係しているのです。

自分の役割を見つけ、演じる

「大人になってからごっこ遊びはちょっと……」と思っている方もいるかもしれませんが、大人になってからもストレス耐性を高めることはできます。

茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)
茂木健一郎『脳をしっかり休ませる方法』(三笠書房)

それは、役割を演じるということです。

たとえば、仕事のチームのなかでの自分の役割を理解して、それを精一杯演じ切ってみるのです。

1つ例を挙げるならば、友人同士でキャンプに行ったとしましょう。

キャンプに行けば、テントを張る人、買い出しに行く人、料理をつくる人、お酒を用意する人など、それぞれが何かしらの役割を担うわけですが、その場でパッパと自分の役割を見つけてそれをしっかりこなしていける、すなわち自分の役割を演じ切れる人が自分自身に上手なストレスをかけられる人だといえるのです。

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