なぜユダヤ人には成功者が多いのか。脳科学者の茂木健一郎さんは「ユダヤ人の多くは自分を客観視する思考法を身につけている。だから常識にとらわれない柔軟な発想ができる」という――。(第2回)

※本稿は、茂木健一郎『一生お金に困らない脳の使い方』(リベラル社)の一部を再編集したものです。

アルバート・アインシュタインとロバート・オッペンハイマー(写真=米国政府国防脅威軽減局/PD US Military/Wikimedia Commons)
アルバート・アインシュタインとロバート・オッペンハイマー(写真=米国政府国防脅威軽減局/PD US Military/Wikimedia Commons

ユダヤ系の友人が私に言った衝撃のひと言

一般的に「ユダヤ人はお金を生み出すことに長けている」、あるいは「ユダヤ人はお金に厳しい」というようなことがよくいわれています。

それはやはり、ユダヤ系の人はイスラエル建国までは自分たちの国を持てず、どの社会にいても不安定だったことで、いつ放り出されるかわからないという不安の中でお金に対する考え方が鍛えられていったからです。

私がそのことを改めて感じた、イギリスに行ったときのあるエピソードを紹介いたします。

イギリスではデビットカードを使っている人が多く、スーパーなどでもキャッシュバックなどのサービスが受けられます。私もこのデビットカードをよく使っていました。ただ、当時は私も貧乏だったので、毎月のように「あと残高どれぐらいかな」とハラハラしていたものです。

すると、あるときユダヤ系の友人が、「俺は絶対にデビットカードを使わない。使うのはクレジットカードだけ。なんでだと思う?」と私にいうのです。そして、その答えを聞いたとき、「ええーっ! そんなことまで考えているの?」と大変驚きました。

その答えとは、デビットカードというのは買い物をすると、その日のうちに口座からお金が引き落とされますが、クレジットカードは毎月の引き落としが月末です。つまり、クレジットカードの場合は買い物をした日から引き落とされる日までの利息が稼げるということです。

それを聞いて、私はユダヤ人の優秀さというものを改めて感じました。