なぜユダヤ人にお金が集まるのか
確かに歴史的に振り返ってみても、ユダヤ人には多くの成功者や企業があります。発明家のエジソン、相対性理論で有名な物理学者のアインシュタイン、映画監督のスピルバーグや画家のピカソなどはユダヤ系ですし、企業でいえばマイクロソフト、マクドナルドやコカ・コーラ、GMなど、多くの有名企業がユダヤ系です。
ではなぜ、ユダヤ人にお金が集まるのか。一つには、先にも述べたように、ユダヤ人はお金しか頼るもののない困難な時代を長く生きてきたこともあり、お金を集めることに長けているのかもしれません。
また、ユダヤ人というのは、父親が「子どもに商売の方法を教える」ことを宗教上の義務としているので、当然ながらお金に対する教育が徹底しているということもあるでしょう。
さらに特筆したいのが、ユダヤ人の発想法です。ユダヤ人の多くは自分を客観視する思考法を身につけています。その一つが「振り子発想」というものです。
これは、両面思考とも呼ばれているユダヤ系の発想の特徴で、片方の側面から考えを出発させたなら、その考えを逆の側面に振ってみるというものです。つまり、反対側の視点をフィルターにして別の角度から問題を見つめ直すのです。そして、やがて元の側面に戻ります。これを幾度となく反復するのです。すると、思考がより深みを増していくということになるのです。
ここ数年で変わった「お金持ちの価値観」
私の友人に伊藤穰一という、とてもおもしろい人間がいます。彼は、「ジョイ・イトー」という愛称で多くの人に親しまれているのですが、実業家でもありながら、2011年9月には日本人で初となるMITメディアラボ所長に就任しました。
ニューヨーク・タイムズ誌では、「2度の大学中退歴を持つ彼のMITメディアラボ所長の就任は、非常に珍しいケースだ」と伝えられ、世間を驚かせました。
このジョイ・イトーもまた、経済的にも成功した人です。あるとき、エグゼクティブが集まるようなパーティで、高級スーツとネクタイをしているような男たちがいる中、一人だけTシャツにジーンズ、靴はスニーカーといったラフな格好をした人がいたそうです。
ジョイ・イトーは、すかさずエグゼクティブたちにこう尋ねたそうです。
「この中で億万長者が一人だけいるんだけど、誰だか当ててごらん」
実は、そのTシャツにジーンズ姿の人物こそ、億万長者だったのです。彼の正体は、リード・ホフマン。2003年にサービスを開始し、2013年には、登録ユーザー数が全世界で2億3000万人まで拡大したソーシャルネットワーキングサービス、「リンクトイン(LinkedIn)」の創業者兼会長だったのです。
このようなアメリカのIT企業の成功者というのは、お金持ちという概念を変えてしまったところがあります。