中学入試本番が近づいている。子供への声かけで気をつけるべきことは何か。プロ家庭教師集団・名門指導会の西村則康さんは「直前期にダメ出しをするのはよくない。具体的に何をすればいいのか、肯定的な言い方で伝えるのが大切だ」という――。
母は居間で息子に話す
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「こんな問題で間違えていたら、合格できないよ」はNG

12月に入り、いよいよ入試本番までのカウントダウンが始まった。今まではどこか他人事で、ちっともやる気を見せなかった子でも、さすがに表情が変わってくるのがこの頃だ。

しかし、いくらやる気を見せてくれたところで、現実はなかなか厳しい。直前期の今になっても知識がごそっと抜けていたり、つまらないミスが続いていたりすると、「このままでは不合格になってしまうのでは……」という焦りが、親側に生まれる。

すると、つい言ってしまいがちなのが、「こんな問題で間違えちゃったら、合格できないわよ!」といった愚痴交じりの叱咤しった激励だ。親からすれば、「ほら、ちゃんと見直ししなさいよ」「ここは大事だから覚えておきなさいね」といったアドバイスなのかもしれないが、言われた子供にしてみれば「こんな勉強のやり方をしている僕は、きっと合格できないんだ……」とマイナスに受け取ってしまい、やる気を削がれてしまう。

だからといって、「頑張って!」と励ますのも、実はよくない。「頑張れ」という言葉には、「あなたはまだ頑張ってないでしょう!」というニュアンスを含む。親からすれば良かれと思って言っている激励は、言葉の選択によってはかえってプレッシャーになるからだ。

直前期のダメ出しは絶対にしてはいけない

直前期は、子供がまだできていないところにどうしても目が行きがちになる。どう頑張っても解けなそうな難問なら目をつむることもできるが、あと少し頑張れば解けそうな問題や、うっかりミスで落としてしまった問題に対しては、「どうしてこんな問題で……」と、子供のミスに対して怒りを覚える。

そして、「だから、問題文はちゃんと読まなきゃダメだって言ったでしょ!」「こんな殴り書きをしているから、計算ミスをするのよ!」とダメ出しに走ってしまう。そう言いたくなる親の気持ちも分からなくはないが、直前期にダメ出しは絶対にしてはいけない。

でも、言わなきゃ気づけないと思うなら、言い方を変えてみてほしい。「○○だからダメなのよ」といった指摘ではなく、「○○してみたら、いいんじゃない?」と「こうしたらいいことがあるよ」という感じで、具体的に何をすればいいかを教えてあげるのだ。