「これから頑張ればなんとかなる」声かけが効く
長年中学受験の指導をしてきて思うのは、近年受験者率が急激に上がったことで、「過剰組」と「不足組」の二極化が進んでいるように感じる。今までなら、直前期は「勉強のやらせすぎに気をつけましょう」と言い続けていたが、今年に限ってはあまりにも基礎力が身についていない子が多く、その言葉が通用しなくなっている。
では、そういう子にはどんな言葉が効くのか?
(やるべきものを提示し)「これをやり切れば、大丈夫だよ!」
(すでに諦めモードになっている子には)「さぁ、今からが本番だよ!」
と、「これから頑張ればなんとかなる」という声かけだ。そんな声かけで効果があるの? と思うかもしれないが、中堅以下の偏差値レベルの学校であれば、今からでも十分間に合う。こうした学校の入試問題は基礎問題がほとんどで、直前期に行われる入試説明会では「うちはこんな問題を出しています」と問題傾向まで教えてくれる。そこをしっかり押さえておけば、合格の可能性はまだ十分にある。大事なのは、最後まで諦めないことだ。
最後の最後は「親の演技力」にかかっている
わずか11歳、12歳の子供が挑戦する中学受験は、最後まで何が起こるか分からない。急にやる気を見せたかと思えば、隠れてゲームをしていたり、ここまで順調に来ていた子が、突然不調になったりすることもある。また、一度は覚えたものを忘れてしまうこともよくある。
「覚えては忘れ、覚えては忘れ」は、入試前日まで続く。ここはもうもぐら叩きのように、一つひとつ根気よく向き合っていくしかない。また、今まではできていた問題を間違えてしまうこともある。そんなときは「なんで間違えたの?」ではなく、「今、見つかってよかったね」と声をかけてあげてほしい。
ただ、そういう言葉は意識していないとなかなか出てこない。そこで、直前期に起こりがちなことを想定して、いくつかのポジティブ言葉を準備しておくことをすすめる。直前期に効く台詞として、いつでも瞬時に引き出せるようにストックしておくのだ。
最後の最後は親の演技力にかかっているといっても過言ではない。それが通用するのは、子供がまだ幼い小学生だからだ。これが中学生や高校生になると、そうはいかない。中学受験は親のサポートが不可欠といわれる所以は、こんなところにもあるのだと思う。