2024年度の中学入試にはどんな変化があったのか。プロ家庭教師集団・名門指導会の西村則康さんは「名門男子校の算数は易化する傾向があった一方、名門女子校では難化した学校があった。かつては『第一志望の過去問は10年分解きなさい』と言われていたが、それが通用しなくなってきた」という――。
教室で勉強している小学生の女の子
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「今の世の中」にどのくらい関心を持っているかを問う

2024年度の中学入試が終わった。今年の難関校の入試問題を見て感じたのは、どの教科においても「あなたは今の世の中にどのくらい関心を持ちながら生活をしていますか?」という内容の問いが多かったことだ。特に社会入試ではそれが顕著に表れていた。

例えば、渋谷教育学園幕張中学校の大問1では、官庁街である霞が関から首相官邸まで歩いて見学したことが事細かに書かれていた。問題には、省庁の位置を問うものもあった。

塾では各省庁の名称や役割は教えるが、それがどこに建っているかなんてことまでは教えない。でも、毎日ニュースを見ていたり、家庭でそういう話をしてきたりした子であれば、霞が関や永田町がどんな街で、どのように形成されているか映像が頭に入っているので、おおよそのイメージができただろう。ニュースをきっかけに政治に興味を持った子なら、実際に街を歩いたこともあるかもしれない。

省庁の位置は前後の文脈から解けるようになっており、ここでは正しい場所を答えることが重要なのではない。学校が知りたかったのは、「あなたは今、世の中で起きていることにどれだけ関心を持って生活をしていますか?」という小学6年生の日常だ。

「勉強だけ」の子どもたちは求めていない

社会といえば、暗記科目と思い込んでいる人は少なくないだろう。しかし、近年の社会入試はただ知識を丸暗記するだけではまったく歯が立たない。問題形式としては地理や歴史、公民の統合型とも言えるが、これらの問題を出す学校側は、「今の世の中の背景や必然性などが理解できているかどうか」「またはそうしたことに関心があるかどうか」を見ているように感じる。

それを別の見方でみると、「机上の勉強だけをしてきていないよね?」「受験勉強に忙殺されていないよね?」と、受験生のこれまでの生活を確認しているように思える。塾の勉強や親から言われたことをただこなして、暗記とテクニック、そして大量演習だけで受験を突破してきた子どもたちに、正直辟易しているからだ。

「今」に注目しているのは、国語入試にも表れている。今年の難関校の国語入試に出題された物語文や論説文は、2022年や2023年に発表されたものが多く見られた。こうした傾向も、社会入試と同様の意図が隠れているように思えてならない。